2017 Fiscal Year Research-status Report
ドイツにおける「研究公正システム」の構築と展開に関する思想的・制度的研究
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15K04288
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
藤井 基貴 静岡大学, 教育学部, 准教授 (80512532)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 研究倫理 / 倫理教育 / ドイツ |
Outline of Annual Research Achievements |
科学技術・学術研究の高度化・複雑化に伴い、研究不正行為(Research Misconduct)の発生予防及び対応策が重要な社会的課題となっている。世界各国では政府機関、学術団体、研究費配分機関、研究機関が中心となり、それぞれの国情に即した「国家研究公正システム」(National Research Integrity System:以下、NRIS)の整備が進められている。本研究の目的は、ドイツを中心として、欧州各国のNRISに関する報告書及び研究論文を整理検討するとともに、現地の関連機関から聞き取り調査等を行って、各国のシステムを特徴づける機能項目(研究不正の定義、法整備、内部告発保護制度など)を明らかにするとともに、我が国の情勢に応じたNRIS構築に資する知見を得ることにある。 当該年度においては、JSPSボン研究連絡センター、ドイツ大学長会議、ENRIO、GRC本部から提供された情報及び資料の分析を進めるとともに、近年のドイツ教育思想に関する研究や欧州の研究費配分機関による国際的な枠組み作りの動向について調査検討した。加えて、翌年度における研究課題に向けた予備的作業として「研究倫理教育プログラム」に援用できる理論および実践方法、教材ツールについての文献収集、実践視察、実践開発を行うとともに、関係者へのヒアリング調査を実施した。また、国際的な共同研究を推進するために、ドイツのベルリン大学の研究者(ファビアン・エッカールト氏)を招聘して研究会を開催した。英米圏についても連携研究者とメールや訪日の際の面会等で情報交換・意見交換を行い、多くの文献や新たな情報をえることができた。これらの研究活動における成果の一部については平成30年度刊行予定の編著書及び当該年度の研究論文等で活字化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の主たる課題は、欧米圏の研究公正システムに関わる機関から情報収集し、それらについての分析を進めて現況に関するデータベースの構築を図ることであった。共同研究者や多くの関連機関の専門家との連携を深めることができたが、まだ一部の機関からは十分な情報を集め切れていない。それらについては次年度に補完できると考えている。その一方で、関係機関から提供された情報が膨大であり、また新たな情報も続々と寄せられているため、その分析を一層加速させる必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
国内及びドイツにおける研究倫理教育プログラムに関する情報収集と分析を進めるとともに、国際学会での報告を目指す。研究倫理プログラムについては先行事例の分析を中心としてカリキュラムデザインについての検討するとともに、より効果の見込める教育アプローチや教材開発についても実践を通じて考察を進める予定である。それらの開発にあたっては大学等の教育機関において試行的に実践を行い、その効果や課題について質問紙等による分析を行う予定である。また、すでに分析を終えた課題についても新たな状況を加味して、再検討を図りたい。
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Causes of Carryover |
公務多忙につきドイツへの出張が平成29年度に実施できず翌年度に延期したため。平成30年8月頃に同出張を予定している。
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