2015 Fiscal Year Research-status Report
文化共生社会に向けた学校教育におけるコンピテンシーの生成
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15K04293
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
杉野 竜美 神戸大学, その他の研究科, 研究員 (40626470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 俊太 京都教育大学, その他の研究科, 准教授 (10582265)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | コンピテンシー / イタリア / 教育評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、申請書に記した「コンピテンシーの概念(OECD・EU・イタリア)」について文献研究を進めた。イタリアが学校教育においてどのような資質や能力を育成しようとしているのかについて、二つの方法を用た。第一に、全国学習指導要綱を欧州の生涯学習のための8つのキー・コンピテンシーと照らして検討することで、イタリアの教育の方向性を探った。第二に、教育省が生徒の獲得した能力をはかるために指標を提示した「コンピテンシーの認証」を分析した。 これらの検討・分析を通して、イタリアの学校では、各教科の中で複数のコンピテンシーを育成しようとしていることが分かった。つまり、具体的な諸コンピテンシーの育成を通じて、これまでと同様に生徒それぞれの薫陶養成となる全人的教育を目指していると言える。しかし、評価に関する資料を分析すると、欧州のキー・コンピテンシーの目標が学校教育の目標そのものになっている。そこでは、生徒が獲得するコンピテンシーの程度に重点が置かれ、生徒の個別的な成長や成果を評価する側面はなかった。そのため、これまでイタリアの学校教員たちが行ってきた全人的教育が、個々の知識や技能を獲得することに重点を置いた教育に変化していると言える。 しかし、公文書の分析だけでは、学校教育の全体像をつかむことはできない。本稿で示したイタリアの教育政策をふまえて、実際の教育現場ではどのようなコンピテンシーを育成し、どのように評価し、生徒の個別的成長を結びつけているのか(または、結びつけていないのか)を調査する必要がある。これは、新年度の課題とする。 (本調査は紀要に投稿中である。)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の調査計画に挙げた「コンピテンシーの概念・定義」について調査を終了し、その成果を教育目標・評価学会紀要に投稿した。 資料収集においても、おおむね必要な書籍は入手できたと思う。 「シチズンシップ教育」との関連に着手できていない点で、当初の計画よりも遅れているといえる。しかし、次年度に予定していた「全国テスト」に関する調査に着手しており、総合的に見て、おおむね順調に進展しているといえるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
新年度が始まり、年間の調査・研究計画について共同研究者と話し合いを実施した。これまでの研究の報告として、学会発表、紀要投稿などの計画を立て、その計画に基づいて指導し始めたところである。 現地調査の予定が決定しつつある。可及的速やかに具体的日程・計画を進める必要がある。
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Causes of Carryover |
主に現地調査を実施できなかったことが理由である。研究開始に若干の遅れが生じ、そのために現地調査のタイミングを失ってしまった。 研究の遅れは、昨年度末に取り戻しているので、本年度は軌道修正できる見込みである。具体的には、共同研究者が今春現地予備調査入りする予定であり、今秋も再調査に臨む予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
6月:現地予備調査(情報収集を含む)徳永担当 9月:現地調査(資料収集を含む) 杉野、徳永担当
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Research Products
(9 results)