2018 Fiscal Year Research-status Report
保育者のアイデンティティ形成と自伝的記憶に関する長期縦断的混合研究
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15K04296
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西山 修 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (50310850)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 保育者 / アイデンティティ / 自伝的記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会の変動を背景に、今、保育者には一層高い資質・力量が求められている。他方、養成あるいは初任期にあたる青年後期は、アイデンティティ形成という発達上の課題に直面する時期でもある。筆者は、しっかりと子どもの発達を支え援助していくこれからの保育者には、専門的知識・技能の修得のみならず、保育者自身の自我の成長発達を志向した養成とその後の継続的支援が不可欠と考える。 そこで本研究では、養成から初任期、中堅期に至る、保育者固有のアイデンティティ形成とその再統合の過程を解明する。また得られた知見を踏まえ、これからの保育者養成・支援の具体的方途を提示し、実践の質保証を図ることを目指す。具体的には次の3点を主な目的とした。1 保育者固有のアイデンティティ形成とその再統合のプロセスを明らかにする。2 アイデンティティ形成と自伝的記憶など他の要因との関連を明らかにする。3 保育者のアイデンティティ形成と再統合を志向した、養成から中堅期に至る具体的支援の在り方を明示する。 本研究は、2002年から実施された保育者志望学生に対する大規模な調査データを活用し、長期縦断的混合研究を実施するものである。本研究の目的に即して本年度は、1 本研究の礎となる2011~2014年度実施の科研費研究による大量の数的データの整理・分析を進めた。2 研究レビュー等を目的として国内外の文献を公的機関等において収集した。特に自伝的記憶に関わる研究の方法を整理・検討した。これらと並行して、2016年度からの調査データの整理・分析を進めた。また国内の研究者から指導助言を受けることができた。研究成果の一部は、主に関連学会誌等への投稿準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、2002年から実施された保育者志望学生に対する大規模な調査データを活用し、長期縦断的混合研究を実施するものである。また、2011~2014年度実施の科研費研究を自伝的記憶などの質的データにより補強する。研究代表者が学内の園長職に就くなど本務が多忙を極め、当初の計画からは遅れている。データ収集、整理・分析は順次行っており、研究成果の学会誌等への投稿準備は遅れはあるが進行している。以上の理由から区分を「(4) 遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、3養成校(最終年度は4養成校)の卒業生に依頼し、年次をずらしながら、様々な分析に耐え得る大量の縦断的データを収集している。よって毎年度、同じ作業を着実に繰り返し進めつつ、新しいデータの整理・分析を急いでいる。平成31年3月20日付にて補助事業期間延長承認を受けることができた。この延長期間を活かし,引き続き十分な成果を提示できるよう作業を進める。 順次、諸分野の研究者や保育実践者から、本研究への評価やフィードバックを仰ぐ。今年度に引き続き、学会誌等への投稿準備を進め、査読等によりフィードバックされた意見も活かしていきたい。
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Causes of Carryover |
物品、旅費などについて購入や使用がなかったものがあり、調整しながら執行したものの,若干の次年度使用額が生じた。なお,次年度は補助事業期間延長承認を受け,1年間の延長期間となる。直接経費の助成金の次年度使用予定額は0円で申請(様式F-14)している。
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