2016 Fiscal Year Research-status Report
公民館を「連携推進母体」にした「学校と地域の総合的な活性化」に関する研究
Project/Area Number |
15K04297
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
熊谷 愼之輔 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (30325047)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志々田 まなみ 広島経済大学, 経済学部, 教授 (30435044)
佐々木 保孝 天理大学, 人間学部, 准教授 (30403596)
天野 かおり 下関市立大学, 経済学部, 准教授 (20551625)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 学校・家庭・地域の連携・協働 / 学校支援地域本部 / 公民館 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、学校と公民館の連携のあり方を検討し、公民館を「連携推進母体」にした「学校と地域の総合的な活性化」方策について考察することを目的とする。「地域が学校を元気にし、元気な学校が地域を活性化する好循環づくり」のためには、学校にかかわる大人たち(保護者や地域住民、教職員等)による協議・熟議の場としての「連携推進母体」が重要になってくる。本研究は、この学校と地域の間の触媒の役割を果たす、「連携推進母体」としての公民館に焦点をあて、その有効性を事例分析等から探るとともに、「学校と地域の総合的な活性化」方策を導き出す。 平成28年度の研究は、昨年度に実施した公民館と学校支援地域本部の関わりに関する全国アンケート調査の分析を中心に行った。以下、分析の結果から、確認できたことをまとめておく。 まず、「学校を核とした地域づくり」の視野をもった地域と学校の協働活動の今後の展開には、その活性化にむけて、個人であれ団体であれ、地域の多様な主体が参画することが想定されている。その意味においても、さらに分析の結果をふまえても、地域と学校をつなぐ「連携推進母体」の拠点が学校内ではなく地域の側に置かれるほうがより機能する場合があることがうかがわれた。そのため、本研究で注目した公民館が果たす役割の重要性をあらためて確認できた。さらに、本調査における自由記述においても、人材供給の調整役として、熟議の場として、そして、学校教育とはまた異なる原理の社会教育のアプローチを活動にうまく溶け込ませていく学習支援者として、公民館が有する可能性が認められた。ここに、これまで正面から取り上げられてこなかった、「連携・協働」の検討枠組みに「公民館」を組み込んでいく研究をすすめていく意義を見出すことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由としては、本年度の研究をふまえて、3編の研究論文等をまとめることができた点にある。とりわけ、今後の研究の基礎となる公民館と学校支援地域本部の関わりに関する全国アンケートの結果について報告・考察した研究論文に関しては、量的な把握が行われていない中で、全国的な状況について実態の把握を試みたものであり、研究の成果としても注目される。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進としては、公民館が「連携推進母体」となって積極的な協働活動を展開している事例のさらなる質的な分析があげられる。いわゆる「先進事例」と呼ばれる状況に至った経緯、実際の協働活動の運営の仕方、コーディネーターや学校関係者との関係、ビジョンの共有、通常の公民館業務との兼ね合い等、より具体的な部分についてインタビュー等を通じて明らかにする必要がある。それらは同時に、当該の事例が置かれている状況といった面からも分析しなければならない。例えば、自治体の規模であるとか、公民館の管理運営体制・職員体制といったいわばハードにあたる面、また、どのような学校改革の文脈をもって地域にアプローチしているのか、あるいは、まちづくり(地域の創生)の視点からは地域と学校の協働活動にどんな意義と位置づけを与えているのかといったソフトにあたる面も関連してくるだろう。学校支援地域本部の活動に公民館がどのような立ち位置で関わるのかについては、目指すべき正解はひとつではないため、活動を支える諸条件との関係を考察していくことが肝要となる。
|
Causes of Carryover |
平成28年度は、アンケート調査の分析を中心に検討したため、ヒアリング調査の実施は試行段階にとどまった。そのため、平成29年度にヒアリング調査を本格的に実施することになったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
理由で述べたように、平成29年度に公民館に対する全国的なヒアリング調査を予定している。そのための予算を重点的に使用予定である。
|
-
-
-
[Book] 学文社2017
Author(s)
難波利光編(天野かおり他著)
Total Pages
352
Publisher
地域の持続可能性 -下関からの発信-