2017 Fiscal Year Research-status Report
アメリカ州政府による学生への経済的支援に関する研究
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15K04300
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 香奈 広島大学, 教育本部, 准教授 (30325203)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アメリカ / 州政府 / 大学生 / 経済支援 / 奨学金 / 州交付金 / 業績評価指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アメリカ州政府による大学生に対する経済的支援の特質と課題を考察し、教育を受ける機会を保障する高等教育財政制度の在り方について検討を行うことを目的としている。アメリカでは高等教育の責任は州が有しており、州政府は大学の設置認可や州交付金の予算編成・配分を通じて、また学生に対する奨学金事業を通じて直接的・間接的に学費負担の軽減を通じた教育機会の均等化に取り組んでいる。その政策は多様であり、日本にとって参考になる事例も多い。しかし、これまで、先行研究では十分にその特質について検討が行われてこなかった。そこで、本研究では各州を利用可能なデータから類型化し、特徴的な政策を実施する州を取り上げてケーススタディを実施する。 平成29年度は、州政府による公立大学への交付金の配分方法に注目し、特に業績評価に基づく資金配分の導入状況とその業績評価指標を調査した。2015年現在、約4分の3の州において公立大学への州交付金配分に業績評価が用いられており、学位・免許状授与数、規定の単位取得者数、卒業・残留率、就職状況、転・編入学者数、低所得学生・成人学生の修了者数などの指標が用いられている。特に、低所得学生の指標には連邦ペル給付奨学金の受給者数が用いられることが多い。州交付金の算定においてこのような成果指標が利用される背景には、高等教育への進学機会の所得間格差が存在する。業績予算が進学機会の格差是正にいかなる成果を挙げているのか、さらなる調査が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、各州の学生経済支援制度を利用可能なデータから類型化するとともに、特徴的な州のケーススタディを実施し、高等教育を受ける機会を保障する高等教育財政制度の在り方について検証を行うことを目的としている。 平成29年度は、公立大学への州交付金の配分手法に注目し、全米の動向を検証し、その成果を報告した。研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度であるため、これまで行ってきた研究の成果をまとめる。具体的には、(1)州奨学金制度の動向、(2)公立大学の業績評価に基づく州交付金配分の動向、(3)テネシー州の事例研究、を予定している。
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Causes of Carryover |
次年度に2回の海外調査を予定しているため、その費用を繰り越した。
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