2015 Fiscal Year Research-status Report
小学校への移行期における「学び」を評価する実践ツールの開発に関する研究
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15K04308
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
大野 歩 大分大学, 教育福祉科学部, 准教授 (60610912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
七木田 敦 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (60252821)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 保育評価 / 幼児期の学び / スウェーデン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、スウェーデンにおける「ペダゴジカル・ドキュメンテーション(教育学的実践記録)」という保育評価を調査・研究し、わが国における幼児期の教育から小学校教育の「学び」の移行のために、保育者の実践評価ツールの作成を目指すものである。本年度の研究実績は主に次の3点である。 ①ドキュメンテーションの調査:Reggio Emilia Austraria(於:オーストラリア・メルボルン)にて、イタリアから来たレッジョ・エミリア教育の実践者によるレクチャーを受けるとともに、メルボルン市内の幼稚園(Davids Atreet Kindergarten)と小学校(Brunswick East Primary School)を訪問し、学びを視覚化する手法や幼稚園から小学校への接続期への応用的実践を調査した。 ②幼稚園における幼児期の学びを捉える評価法の実践:大分大学教育福祉科学部附属幼稚園にて、アプローチカリキュラムと教育課程の作成に向け、幼児期の学びの連続性を捉えるドキュメンテーションの作成に着手した。具体的には、保育者による幼児の遊びのエピソード記録からその遊びにおける子どもの学びをキーワードとともに抽出し、その記録を同じ遊びごとに3,4,5歳児で並べ,一見で発達の流れが可視化できるような書式にまとめ、保育の討議を行っている。現在のところ、「他の年齢の発達がわかりやすくなり、自分の担任する子どもたちが、これまで何をして今の姿になっているのか、今の実践が次の子どものどのような姿に結びつくのかということが理解できるようになった」という意見が出ている。 ③研究の成果報告:平成27年度全国保育士養成協議会第54回大会(2015年9月21-23日於:札幌)にて、「スウェーデン保育の動向から保育者養成の今後を考える」というタイトルでシンポジウムの話題提供を行った。また、「スウェーデンの保育改革にみる就学前教育の動向」という論文を投稿し、『保育学研究』第53巻第2号に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①現地調査地の変更:計画では期間初年度にスウェーデンにおいて、就学前学校の観察調査、学校庁の訪問、現地における資料収集を行う予定であった。しかし、現地協力者との調整や移民問題の拡大による現地訪問の難しさなどが生じたため、現地調査を先送りした。代わりに、ペダゴジカル・ドキュメンテーションの原型となっているレッジョ・エミリア教育に関する国際学会(於:オーストラリア・メルボルン)に参加し、イタリアから来たレッジョ・エミリア教育の実践者によるレクチャーを受けるとともに、メルボルン市内の幼稚園(Davids Atreet Kindergarten)と小学校(Brunswick East Primary School)を訪問し、学びを視覚化する手法や幼稚園から小学校への接続期への応用的実践を調査した。
②日本での援用実践の検討と実践への着手:2年目より日本の幼稚園における実践に着手する予定であったが、幼稚園側との話し合いの結果、初年度より着手することができた。具体的には、大分大学教育福祉科学部附属幼稚園にて、アプローチカリキュラムの基礎的資料とするための幼児期の学びの連続性を捉えるドキュメンテーション作りに取り組んでいる。
③早期からの成果報告:当初は初年度の成果を踏まえ、2年目より成果報告をする予定であったが、これまでの成果を合わせて学会発表(口頭)1件、学会誌への論文投稿1件による研究の成果報告を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題における今後の推進方策は以下のとおりである。
①現地調査(スウェーデン)の実施:現地とのコンタクトを継続し、就学前学校・就学前クラスへの訪問と観察調査を実施する。また、教員への聞き取り調査も実施する。具体的には子どもの学びを捉える観点に着目し、保育者の作成したドキュメンテーションを読み込んだり、保育者にインタビューをして、就学前の子どもの経験を学びに結びつけるための手法の一連を解明する。 ②日本での援用実践:引き続き大分大学教育学部附属幼稚園での実践を行う。初年度の実践を踏まえ、H28年度は、事例の数を増やして、様々な遊びの場面で見られる3,4,5歳児の学びの流れを捉えたうえで、特に着目したい力を取り上げ、その点についての事例の収集を重ねていく予定である。また、保育者へのインタビューを行い、日常の実践の中で保育評価を行うことについての保育者の意見を聞き取る。 ③研究の成果報告:学会において、研究成果を報告する。H28年度はすでに日本保育学会第69回大会にて、口頭発表を行う予定となっている。また、大分大学教育学部附属幼稚園での実践にかかわる研究成果について、大学紀要への論文投稿を予定している。
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Causes of Carryover |
現地の状況などを勘案して当該年度の調査地がスウェーデンからオーストラリアへと変更したため、スウェーデン語の通訳等の人件費が余剰したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H29年の6月にスウェーデンでの調査を計画している。そのため、H28年度はコーディネートや翻訳についての人件費が必要となるため、その費用として充てる。
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Research Products
(3 results)