2016 Fiscal Year Research-status Report
デンマークにおける生涯学習実践の構造に関する質的研究
Project/Area Number |
15K04321
|
Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
坂口 緑 明治学院大学, 社会学部, 教授 (10339575)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 生涯学習実践 / デンマーク / 通学制国民高等学校 / NPO |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、デンマークの生涯学習実践に関し、若者の自立支援をどのように行っているかを明らかにするために、通学制国民高等学校に対する聞き取り調査を行った。聞き取り調査に先立ち、調査の枠組みについては、昨年度立ち上げた「デンマーク教育研究会」にて検討し、2016年8月18日から24日までデンマークを訪問した。コペンハーゲンでは、「移民女性のための通学制国民高等学校」の再訪、移民支援のNGO「トランポリンハウス」の再訪に加えて、通学制国民高等学校協会理事に対するインタビュー、フレデリクスベア市の「Kursustrappen」校長と副校長に対するインタビューを実施した。2017年3月21日から27日までデンマークを訪問し、北欧比較教育学会(NOCIES)および北欧教育研究学会(NERA)の大会に参加した。2016年度は訪問調査の中間報告として、第45回北欧教育研究学会大会では、「成人教育およびインフォーマル学習」のセッションで「承認の教育:デンマークの通学制国民高等学校のケーススタディ」というタイトルで報告をおこなった。また「新しい市民大学の系譜と類型」『日本生涯教育学会論集・37』2016年12月13-22頁(査読あり)、「地域のなかの「外」へ開く──新しい市民大学の事例から考える」『月刊公民館』2016年9月号12-15頁(査読なし)、「公益活動と自発的結社──市民社会の30年を考える『社会教育』2016年12月号18-23頁(査読なし)の論文3本を発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年8月および2017年3月のデンマーク訪問での成果は、おもに2つの点に集約できる。ひとつは、通学制国民高等学校の歴史的経緯について、1980年代のデンマーク政権における働きかけに関する証言を得られた点である。通学制国民高等学校協会の過去の報告書、執筆した研究者にコンタクトをとれたという成果があった。もうひとつは、北欧教育研究学会大会にて、北欧諸国の成人教育およびインフォーマル学習、若者支援を研究テーマとする研究者とのネットワークを構築できた点である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2017年度は、プロジェクトの最終年となるため、ヒアリング調査を強化する。2016年8月にデンマーク第二の都市オーフスでのヒアリング調査を予定している。合わせて、オーフス市での移民支援をおこなうNPOでの若者に対する学習支援の情報を収集することも継続して実施する。2017年度後半はこれらの調査結果を分析し、論文にする作業を進める予定である。
|
Causes of Carryover |
8月の調査は予定どおり進行したものの、3月の出張時には日程調整がうまくいかず、学会参加のみとなり、調査に出かける時間をとることができなかった。そのため、予定していたインタビュー調査を2017年の夏以降に実施することとする。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
3月の学会で情報収集をした結果、デンマークのインフォーマル教育のみならず、スウェーデンやノルウェーなどの情報を得ることができた。またスイスの各都市にある国民高等学校が、デンマークやドイツとは異なり、独自の方法を持っていることもわかった。夏にはスイスの国民高等学校も訪れ、EU外の国における生涯学習政策についても追加して考察することとする。したがって、2017年夏の調査についてはできれば2週間は時間をとり、スイスにも出張して、見学先を増やし、情報収集に努める。
|
Research Products
(4 results)