2017 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the study rhythm reform and the creation of the education community in France- from the perspective of cooperation of inside/outside of a school -
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15K04330
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Research Institution | Shigakukan University |
Principal Investigator |
岩橋 恵子 志學館大学, 法学部, 教授 (70248649)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地域教育計画 / 修学リズム改革 / フランス / 学校内外の連携 / 教育共同体 |
Outline of Annual Research Achievements |
2013年から2017年にかけて、フランスのほぼ全ての初等学校で、子供の学業成功と不平等の縮小を目的として修学リズム改革が推進されてきた。改革の根底にあるのは、子供のバイオリズムを尊重し調和のとれた子供の時間を保障し、彼らの発達を促すことである。そのため本改革は、学校における修学時間のあり方だけでなく、修学時間以外の教育活動や地域全体の教育のあり方まで問い、市町村レベルでの教育計画を根付かせようとする改革でもある。従って本研究では、地域教育計画(PEDT)を修学リズム改革の要と捉え、4年近く経過したPEDTの現状の分析を通して、教育的意義と課題を考察した。その要点は以下の通りである。 ①修学リズム改革の中で、学校内外の教育的連続性(continuite educative)が追求されている。これは、子供の生活・教育を丸ごと捉えることによって、子供の教育を学校の内と外に切り離されたものでなく、一貫性をもったものとして構築することで子供の発達を促そうとするものである。そのため学校内外の協働の構築が課題となるが、それを具現化するために教師とアニマトゥールの協働関係の構築が求められている。②PEDTの策定・実施を通して、市町村のイニシアティブによる地域教育政策が進み、子供の生活実態に即した教育活動の取組みが可能となってきている。特に地域格差がでやすい学校外時間での活動に、従来参加できないまま放置されていた小規模自治体の子供達もまた参加できる可能性が広がり、学校外での教育の公役務性が拡大した。これは1980年代から始まった地方分権の教育領域での到達点といえる。③PEDTの推進過程が教育共同体commnute educativeの広がりと深まりを生み、地域ぐるみで子供の教育に関わる動きが始まっている。今後この教育共同体の動きがどのように進められていくかが、PEDT成功の鍵になる。
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