2015 Fiscal Year Research-status Report
1930年代アメリカ高等教育における大学拡張部の意義
Project/Area Number |
15K04335
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Research Institution | Nanzan Junior College |
Principal Investigator |
五島 敦子 南山大学短期大学部, 英語科, 教授 (50442223)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アメリカ大学史 / アメリカ成人教育史 / 大学開放 / 大学拡張 / 戦間期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1930年代のアメリカ高等教育における大学拡張部の意義を「全米大学拡張協会(National University Extension Association: NUEA)」に焦点をあてて解明することにある。NUEAは、1915年設立以来、100年にわたってアメリカ大学拡張運動を先導してきた協会である。本年度は、まず、NUEAの現組織である大学専門職・継続教育協会(University Professional & Continuing Education: UPCEA)の事務局(ワシントンD.C.)を訪問して戦間期の機関紙を入手するとともに、歴史的経緯を把握するために近年の活動を含めてヒアリングを実施した。現在のUPCEAは,継続教育専門職が学び合えるオンライン・ネットワークを形成し、民間と協働することで学位プログラム開発を促進していること、さらに、調査研究とコンサルティングによってデータを集積してFD・SD研修を提供し、連邦政府にも支援を働きかけていることが明らかになった。調査結果の一部は、日本社会教育学会第62回大会(2015年9月19日:首都大学東京)、ならびに、全日本大学開放推進機構第2回大学開放研究会(2015年10月3日:龍谷大学)で発表した。次に、歴史研究に着手するにあたり、アメリカ高等教育史の先行研究を再検討するため、第38回大学史研究セミナーにおいて若手研究者を中心にした研究交流会(2015年11月21日、南山大学)を主催した。研究発表の主題は、厚生補導の成立過程におけるアメリカの影響、学生の日米国際交流、19世紀アメリカの教養課程など多様であったが、総じて学生支援が共通の関心であり、学習者に焦点をあてた歴史研究の重要性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
UPCEA事務局の訪問調査によって、これまで詳細が不明であった過去25年間の経緯と近年の改革動向が明らかになったことは、大きな進展であった。ただし、入手した戦間期の機関紙の整理に時間がかかり、歴史分析にはいたらなかった。また、事務局担当者の交代等により、戦前の一次史料の所在は特定できず、十分な情報が得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、機関紙の分析を行い、戦間期における教師の専門職化に果たした大学拡張部の役割に焦点をあてて研究をすすめる。また、アメリカ国内で開催される教育史学会に参加して幅広く情報を収集するるとともに、カリフォルニア大学、ウィスコンシン大学等で史料調査を行う。
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