2016 Fiscal Year Research-status Report
1930年代アメリカ高等教育における大学拡張部の意義
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15K04335
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Research Institution | Nanzan Junior College |
Principal Investigator |
五島 敦子 南山大学短期大学部, 英語科, 教授 (50442223)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アメリカ大学史 / アメリカ成人教育史 / 大学開放 / 大学拡張 / 戦間期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、開かれた大学づくりの在り方を考えるために、アメリカ大学開放の歴史像を探究するとともに、近年の改革動向を明らかにすることにある。2016年度の研究成果は、以下の三点である。 第一に、前年度学会発表の成果を踏まえて、継続教育部局の全国協会である大学専門職・継続教育協会(University Professional & Continuing Education Association:UPCEA)の改革動向を分析して論文を執筆した。アメリカでは働きながら学ぶ非伝統的学生の増加により、オンラインによる学位取得のニーズが高まっている。これに対し、UPCEAは、継続教育専門職が互いに学び合えるオンラインネットワークを形成するとともに、民間と協働することで学位プログラムの開発を促進している実情を報告した。 第二に、少子高齢化時代の生涯教育における大学開放について国内外の取り組みをまとめた著書(上杉・香川・河村編著)の中で、知識基盤社会において大学開放の概念がどのように変化してきたかをまとめた。具体的には、大学と社会の双方的・互恵的関係を示す「エンゲージメント(Engagement)」という概念が登場した背景、ならびに、「エンゲージメント」を大学の戦略ビジョンに掲げる「エンゲージド・ユニバーシティ」にかかわる世界的潮流を紹介した。 第三に、歴史研究としては、日本教育学会第75大会(8月25日:北海道大学)において、1920-30年代のアメリカにおける現職教員の教育機会の拡大に果たした大学拡張事業の意義について研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アメリカの教育史学会年次大会(History of Education Society Annual Conference、11月:プロビデンス)に参加して大学史研究者と研究交流を行ったことにより、研究の方向性について有益な示唆が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度はウィスコンシン大学において9か月間の研究留学の機会を得たため、新規の史資料を収集するとともに、聞き取り調査を予定している。また、現地研究者との共同研究として発展させる予定である。
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Causes of Carryover |
アメリカ出張旅費に対して学内研究奨励金を執行することができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度はウィスコンシン大学において9か月間の研究留学の機会を得たため、アメリカ国内での調査研究費ならびに学会出張費として執行する。また、調査の結果を持ち帰り、より精緻な分析を行うために補助事業延長を申請し、2018年度に研究成果を刊行する。
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