2017 Fiscal Year Research-status Report
1930年代アメリカ高等教育における大学拡張部の意義
Project/Area Number |
15K04335
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Research Institution | Nanzan Junior College |
Principal Investigator |
五島 敦子 南山大学短期大学部, 英語科, 教授 (50442223)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アメリカ高等教育史 / アメリカ成人教育史 / 大学開放/大学拡張 / 戦間期 / 継続教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、開かれた大学づくりの在り方を考えるために、アメリカにおける大学開放運動の歴史像を明らかにするとともに、近年の成人教育・継続教育の動向を調査することにある。2017年度の研究成果は次の2点である。 第一に、歴史研究として、1930年代大恐慌後の失業者対策として大学拡張部が連邦政府等と連携して提供した教育プログラムに関する史料をウィスコンシン大学ならびにコロンビア大学等で入手できた。このプログラムは、高等教育の機会を持たなかった青年層がオフキャンパスで2年間の大学教育課程を修了するスタイルが普及する契機を与えたことをうかがわせる。ただし、具体的な学生像を明らかにする史料は特定できなかった。 第二に、近年の動向として、成人の学位取得状況とその取得を妨げている要因について調査を行った。2010年前後から失業者対策・職業訓練への連邦政府資金投入によって成人学生が増加したが、在学期間の長期化・中退率の上昇が問題となっている。その解決として、学習経験を単位化するPLA、学習者のコンピテンシーによって単位を認定するCBE、評価の枠組みを共有するDQPなどが開発されている。また、成人のサポートのために、オンライン・リソースを共有して大学間の連携を強化し、成人学生支援部局を設けて財政援助や個別相談に応じている。これらの調査結果の一部は、日本比較教育学会第53回大会(東京大学)において、「高等教育機関における成人向け継続教育の国際比較」に関する共同研究として発表した。追加調査として、UW ExtensionならびにUCLA Extensionを訪問して、成人の学修支援体制とその課題について聞き取り調査を行った。この成果は、2018年度日本高等教育学会で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ウィスコンシン大学留学を通じて新しい研究動向を学ぶ機会を得たことにより、これまでの研究枠組みを見直す必要が明らかとなった。そこで、研究目的をより精緻に遂行するために補助事業期間延長を申請し、成果の公開を翌年度に繰り延べたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究枠組みの再設定を行うため、アメリカ高等教育史研究の成果と動向について整理・検討するとともに、2017年度に入手できなかった学生像を明らかにできる史料を特定する作業を行う。
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Causes of Carryover |
2017年度にウィスコンシン大学留学の機会を得たため、アメリカ国内調査旅費が当初の計画を下回ったこと、また、研究目的をより精緻に達成するため補助事業期間を延長して成果の公開を繰り延べたことによる。
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