2015 Fiscal Year Research-status Report
大学の持続的発展に資する校友(大学・学生・卒業生)事業の意義と可能性に関する研究
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15K04340
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
大川 一毅 岩手大学, 学内共同利用施設等, 教授 (20267446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶌田 敏行 茨城大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (00400599)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 同窓会 / 校友(alumuni) / 卒業生 / 母校(alma mater) / 自校教育 / 校友行政(alumuni study) / 学生の成功(student success) / 愛校心 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大学と卒業生組織が連携して行う「校友事業」について、これを大学への利益誘導のためだけでなく、学生を成長させ、さらに卒業生の校友意識も高める「互恵事業」としての可能性を究明しようとするものである。これにあたり、3カ年にわたり以下3ステップの研究計画を遂行する。すなわち、①校友事業の現況調査及びその分析(先導的大学への訪問ヒアリング調査を含む)、②卒業生や同窓会と関わる自校教育科目及びキャリア支援科目等に関する調査・分析、③在学生を対象とした校友育成のための教学事業の可能性に関する検討。これらについて、平成27年度は①及び②を中心にして、以下の具体的作業を進めた。 その1:全国大学における同窓会・校友会等の卒業生組織について、名称、沿革、組織体制、目的、活動内容、会費、会員資格、等を規約や定款から調査してデータベース化を進めた。 その2:全国大学の同窓会・校友会等会報に掲載されている「会長挨拶」を分析し、卒業生組織の「大学支援・後援」への考えかたを把握した。 その3:全国大学の自校教育科目及びキャリア支援科目についてwebサイト等から最新の実施状況データを収集し、授業目的や授業内容において「卒業生」「同窓会」「校友育成」等と関与する事例を抽出した。さらに、それら授業について、授業目的、授業内容、授業形態、到達成果等を整理分類してデータベースに加えた。 その4:同窓会事業、並びに卒業生と連携した校友事業に先導的な取組を展開する大学の校友課(立命館大学、明治大学)に訪問ヒアリングを行い、校友事業の現状と課題、及び今後の研究にあたっての分析視点設定(実施目的、実施形態、授業内容、大学の支援、卒業生の関与形態、成果)に関わる教示を得た。 これら作業をふまえ、平成27年度には学会報告1回、招待講演2回を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度である平成27年度は下記①、②を研究目標とした。 ①校友事業の実施現況調査及びその分析(先導的大学の訪問ヒアリング調査を含む) ②校友事業について、自校教育科目、キャリア支援科目等のシラバスなど既存資料の整理分析 【研究課題の進捗状況】 ①については、全国大学における同窓会・校友会等の卒業生組織について、webサイトを活用して、卒業生組織・団体の名称、沿革、組織体制、目的、会員資格、等を調査し、データベース化した。また、同窓会会報等から、同窓会長による母校支援の考え方を明らかにした。この他、校友事業に先導的な取組を展開する大学(立命館大学、明治大学)に訪問ヒアリングを行い、今後の訪問調査にあたっての視点や分析指標(実施目的、実施形態、授業内容、大学の支援、卒業生の関与形態、成果)設定の教示を得た。②については、webサイト等から全国大学の自校教育科目及びキャリア支援科目の実施状況データを収集し、授業目的や授業内容において「校友育成」と関与する事例を抽出し、整理分類してデータベース化した。これら取り組みをふまえ、当初の予定通り学会報告1回を行い、また予定にはなかった招待講演も2回を行った。以上のことから校友事業の現況に関する基礎情報の収集が進み、その分析結果を報告するなど、当初の計画目的を果たした。 なお、研究の進展に従い、大量のデータが蓄積された。今後、これらをより詳細に分析する必要性が生じたため、研究分担者1名の追加を申請し、平成27年度末に承認された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、研究期間中間年度として、下記①、②、③の取り組みを進める。 ①これまで蓄積した調査データをもとに、校友事業の実施状況および実施形態について、大学や校友組織の特性(設置、歴史、大学規模、立地)と照らし合わせた類型化を行う。これを踏まえ、校友事業実施上の環境基盤を明確にしながら、大学が校友事業に求める要素(ニーズ)と、各大学で適用可能な事業の要素(シーズ)について考察を進める。 ②大学における卒業生の位置づけや、校友の役割、あるいは卒業生に協力を依頼した教育・学生支援の実態について、アンケート調査を企画し、可能ならば年度内に実施する。ここで得られた調査結果は、次年度における関連学会等での口頭発表、もしくは研究論文として投稿を行う。 ③ 前年度の基礎調査、及び訪問調査結果を踏まえ、校友事業に先導的な取り組みをしている大学への訪問調査を行う。聴取内容は、校友事業(自校教育、キャリア支援教育、卒業生との協働参画型事業など)実施の背景、校友育成についての考え方、卒業生や卒業生組織との関係、各事業に対する学生の満足度や意見など、書面・web調査での把握が難しい具体的状況を確認する。 平成29年度は、前年度までの調査分析結果等をふまえ、最終研究年度として総括的考察をとりまとめる。これにあたっては、大学と卒業生との相互支援の意味、大学における校友の役割、大学に対する愛着(愛校心)形成要因等についての言及も試みたい。
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Causes of Carryover |
平成27年度の研究進捗につれ、収集蓄積した情報データが大量に生じ、これらのデータについて効率的な処理と分析に取り組む必要性が高まった。そこで、その役割を担える能力や実績、研究環境のある新規分担者を平成28年1月に追加申請し、参画の承認を得た。平成27年度は、期間途中からこの新たな研究分担者の参加を想定し、研究計画を見直した結果、平成27年度の研究遂行に支障の無い範囲で研究費の使用を抑制し、平成28年度の研究に活用することとしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、研究代表者及び研究分担者の平成28年度経費に充当し、平成28年度交付金は、新規に追加した研究分担者への配分比重を高めて使用する。
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Research Products
(4 results)