2015 Fiscal Year Research-status Report
ESDグローバルアクションプログラムにおける学校実践と教師教育に関する実証的研究
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15K04343
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
市瀬 智紀 宮城教育大学, 附属国際理解教育研究センター, 教授 (30282148)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 持続可能な開発のための教育 / グローバル・アクション・プログラム / 学校実践 / 教師教育 / ユネスコ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ESDの教育政策や実践、評価方法を国際的に比較し、東北地方の地域の幼小中高等学校におけるESDの実践と大学の教員養成課程・教員研修におけるESD実践の効果と評価をモニタリングして海外に発信することを目的としている。 1.ESDの教育政策についての国際的な比較研究 (1)ESDに積極的な取組みをしている海外の教育政策、学習指導要領の情報収集を行った。特に「アジア太平洋ESDネットワーク」の10か国の研究者と情報交換を行った(平成27年6月2日)。(2)研究の結果を、「アジア太平洋ESDネットワーク」と「日本比較教育学会」において発表した(平成27年6月2日と13日)。(3)GAPに参画する政策立案者(中国可持続発展教育センター)を招いて、教員研修マニュアルの検討とセミナーを開催した。(平成28年2月5日) 2.東北地方のユネスコスクールのESD実践の評価とフィードバック (1)ESDの評価にかかわる調査シートについて再検討するとともに、(2)地域のESDの学校実践について調査し分析した。(3)東北六県および新潟県、栃木県、群馬県の幼稚園、小中高等学校146校のユネスコスクールを中心に「ESDの効果と成果に関する質問紙調査」を行なった(平成27年8月)。 3.ESDに関する大学の教員養成プログラム、教育委員会主催の研修会、免許状更新講習の実践的研究 (1)関連する学部授業、ユネスコスクール研修会、免許許状更新講習「ESD入門」の検討と質問紙調査による評価を行った。(2)教師教育にかかわるマニュアルの作成メンバーとして“Enhancing Educators’ ESD Capacity and Promoting Quality Education”(アジア太平洋ESDネットワーク)、「ESD推進のための手引き」(文部科学省)の作成に関わり、研究をおこなった(平成27年度)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、ESDの教育政策や実践、評価を国際的に比較し、東北地方の地域の幼小中高等学校におけるESDの実践の効果の検証と評価、大学の教員養成課程・教員研修におけるESD実践の効果と評価について調査して、海外に発信することを目的としている。平成27年度は、予定通り初期の目標を達成することができた。 1.ESDの教育政策についての国際的な比較研究においては、特に(アジア太平洋ESDネットワーク)に参画しているグループメンバー10か国の研究者と情報交換を行った。平成28年度はヨーロッパで複数の会議が開催されるため、GAPのヨーロッパにおける展開に焦点をあてて研究を行う(平成28年8月および9月)。また、ヨーロッパから政策立案者、研究者または実践者を招聘してセミナーを開催する(平成28年2月3日予定)。 2.東北地方のユネスコスクールのESD実践の評価とフィードバックについては、予定していた東北地方から範囲を広げ、東北六県および新潟県、栃木県、群馬県の幼稚園、小中高等学校146校のユネスコスクールを中心に「ESDの効果と成果に関する質問紙調査」を行なうことができた(平成27年8月)。情報を毎年継続して集積している。 3.ESDに関連する大学の教員養成プログラム、教育委員会主催の研修会、免許状更新講習の実践的研究については、国際的には“Enhancing Educators’ ESD Capacity and Promoting Quality Education”(アジア太平洋ESDネットワーク・機構)の教員研修マニュアル、国内では「ESD推進のための手引き」(文部科学省)の作成に関わることができたため、予想以上の進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、ESDの教育政策や実践、評価を国際的に比較し、東北地方の地域の幼小中高等学校におけるESDの実践の効果の検証と評価、大学の教員養成課程・教員研修におけるESD実践の効果と評価をモニタリングして海外に発信することを目的としている。 1.ESDの教育政策についての国際的な比較研究 (1)平成28年度は「ESDのための教師教育国際ネットワーク会議」及び、スウェーデンのウプサラ大学における研修会が開催されるため、GAPのヨーロッパにおける展開に焦点をあてて研究を行う(平成28年8月および9月)。(2)政策研究の成果発表を国際社会に向けて行う。(平成28年8月および10月予定)。(3)ヨーロッパからGAPにかかわる政策立案者、研究者または実践者を招聘してセミナーを開催する(平成28年2月3日予定)。 2.東北地方のユネスコスクールのESD実践の評価とフィードバック (1)地域のESDの学校実践について、継続して調査と分析を行う。(2)東北六県および新潟県、栃木県、群馬県の幼稚園、小中高等学校(中高一貫校を含む)を対象とした「ESDの効果と成果に関する質問紙調査」を継続して行う(平成28年8月)。質問紙調査の配布と同時に、各学校にむけてフィードバックを行う(平成28年8月)。 3.大学のESD教員養成プログラム、教育委員会主催のESD研修会、ESD関連の免許状更新講習の実践的研究 宮城教育大学の多文化教育科目群におけるESD関連科目の内容の調査、気仙沼市教育委員会主催、ユネスコスクール研修会(年2回)の教員研修の内容の調査と省察、評価を行う。また、宮城教育大学免許状更新講習「ESD入門」(年3回)の内容の検討と質問紙調査による評価を行う。本年度は、特にスウェーデンを中心にESDの教師教育について学び(平成28年9月)、国内における教師教育の改善につなげる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は3つある。予定していた設備備品(dynabook satellite)を購入せず旧式の備品のアップデートにより対応したこと。海外渡航が招待講演で先方の経費負担となったため予定していた調査研究旅費を使用しなくて済んだこと。海外招聘者2名を予定していたところ1名のみの招聘で済んだ(他経費使用)という理由からである。経費を節約したのは、本年度ヨーロッパにてグローバル・アクション・プログラムに関連する会合が2回開催されるため、これらの経費を使用するからである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、スウェーデン・ウプサラ大学で「ESDのための教師教育国際ネットワーク会議」(8月21日~24日)が開催される。またエストニア・タリンにて「ESDの教員研修に関する国際会議」(9月22日~24日)が開催されるため、その経費として使用する。
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