2015 Fiscal Year Research-status Report
社会的支持・合意範囲の実証を通じた教育費負担と教育費負担軽減制度の在り方の研究
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15K04346
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| Research Institution | Chiba University |
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Principal Investigator |
白川 優治 千葉大学, 普遍教育センター, 准教授 (50434254)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 奨学金制度 / 教育費 / 教育費負担の軽減 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本社会における教育費負担とそれを軽減する諸制度の在り方を分析対象とし、教育費負担を家計から「移転」する可能性を、歴史的・理論的・実証的検証を通じて探索するものである。このことによって、新しい教育費負担の在り方と社会的支持を得ることができる教育費負担支援制度の在り方を提案することを目的とする。
研究目的を達成するために、①戦後日本の学校観・進学意識とそれに対応する費用負担の関係についての歴史的経過の検証（以下、「①歴史的検証」）、②教育費負担を既定する新しい社会論理・社会的合意の可能性の理論的検討（以下、「②理論的検証」）、③質問紙調査による世代間・地域間・階層間での教育費負担の「移転」可能性の実証分析（以下、「③実証分析」）、④①②③の成果による教育費負担とその軽減の在り方に関する社会的合意状況の解明とそれに基づく現行各種制度の拡張可能性についての政策的含意の析出（以下、「④政策的含意の析出」）の４つの研究課題に取り組む計画である。
平成27年度は、文献研究により、「①歴史的検証」「②理論的検証」を中心に進めた。「①歴史的検証」を進めるにあたり、当初計画では戦後日本を対象としていたが、戦後日本の検証のためには戦前期の在り方もあわせて検討することが必要と考え、研究計画を部分的に修正し、分析期間を拡張することとした。そして、戦前期の育英奨学事業を再検証することで、日本社会が教育費負担とその軽減がどのように考えられていたのかを検証した。その結果、貸与奨学金制度の返還問題とそれによる生活圧迫という、現在日本の状況と類似する状況と共通課題が戦前期にも見られたことが確認された。また、「②理論的検証」では、社会理論の検証するとともに、政治動向による影響（特に、18歳選挙権をめぐる政策動向）を、本課題にどのように位置づけるかが論点となることを確認した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に基づいて、「①歴史的検証」と「②理論的検証」を進めることができた。また、「①歴史的検証」において、検討対象期間を拡張したことにより、現在の日本社会の奨学金制度をめぐる課題が戦前期から続くものであることを確認したことはひとつの成果である。また、「②理論的検証」を、政治状況の変化のなかに本課題を位置づけたことで、次年度の計画に活かすことができる。これらのことから、おおむね順調に推移している考える。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、研究計画に沿い、「③実証的検証」として質問紙調査を中心に取り組む。
教育負担軽減制度に対する社会的支持の現状や将来見通し、その在り方を検証するためのアンケート調査を実施する。その質問項目の設定にあたっては、「①歴史的検証」と「②理論的検証」の成果をもとに設問を設定する。調査対象等については、経費状況を踏まえて調整を図る。
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| Causes of Carryover |
申請時の研究計画おける研究費から、実際の配分額が75％程度に減額されたことから、2年目に予定している本研究の中心的な研究方法となる質問紙調査に資金を配分することを目的に、初年度の経費執行は最小限にとどめることとした。したがって、次年度使用額が生じることとなった。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
2年目に計画している質問紙調査を実行することで、研究計画と配分資金の十全な執行を行うことができる。
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