2016 Fiscal Year Research-status Report
外国人留学生供給源の変動とその規定要因‐中国の大学の日本語教育と学習者を事例に
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15K04347
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
王 杰 (王傑) お茶の水女子大学, 人間発達教育科学研究所, 研究協力員 (80432037)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中国 / 日本語学習者 / 現代日本文化 / 日本社会への認識 / 渡日経験 / 進路選択 / 留学志向 / 就職 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年5月下旬から6月末にかけて、中国・清華大学外国語学部の研究者に質問紙調査の実施を委託し、吉林省、内モンゴル自治区、北京市、山東省、上海市、湖南省にある14の国公立大学において、日本語専攻生と非日本語専攻生を対象に質問票の配布と回収を行い(一部の大学では教員を通してWEB調査を試行)、教員インタビューを実施した。有効回収数は1458、有効回収率は83.9%である。主な設問は学習者の個人属性、家庭的背景、出身高校、大学志願時に重視した要素、日本語を学ぶ目的、日本語・英語の到達度、総合成績のレベル、渡日経験、日本社会と中日関係に対する認識、授業料や日常生活の支出、アルバイト従事、大学生活への満足度、授業料を値上げする場合の大学進学選択、学部卒業後の進路選択、留学希望などを含む。 11月にこの調査の研究成果の一部である「中国の日本語学習者に関する社会学的考察」を中国日本語教育学会2016年度研究大会(上海外国語大学、日本国際交流基金主催)で報告し、優秀論文賞を受賞した。主な知見は次のとおりである。「専攻生」の日本語専攻志願にとって「就職に有利である」ことの影響は依然として大きく、「非専攻生」の日本語履修にとってアニメなどの現代日本文化の影響が大きい。対象者はおおむね日本社会を高く評価している。とりわけ日本人の環境保護意識、日本製品の質と日本の教育水準を高く評価している。海外留学の志向率は約2割であるが、日本を留学先に入れるとは限らない。日本語専攻生を見ても、留学志向者のうち、約3割が英語圏への留学を希望する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査の対象である地域と学校に若干の変更があったものの、中国の6つの省(市、自治区)の14国公立大学で教員インタビュー、さらに1458名の日本語学習者にアンケート調査を協力してもらい、貴重な一次データを収集できた。データの分析と論文執筆もおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年8月に日本教育学会第76回大会(桜美林大学主催)、10月に日本教育社会学会第69回大会(一橋大学主催)でアンケート調査の研究成果を報告し、中国と日本の学術誌に論文を投稿する予定である。分析は来日する中国人留学生が停滞・減少する中国側の要因の更なる究明にフォーカスする。
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Causes of Carryover |
データベースのクリーニング、翻訳作業などは代表者が行ったため、人件費を省くことができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際学会の参加費用に使う予定。
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Research Products
(4 results)