2015 Fiscal Year Research-status Report
今日の人権教育を進める教育コミュニティ形成のための学校の実践条件に関する研究
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15K04365
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
芝山 明義 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (10243742)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 人権教育 / 教育コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度にはまず、地域社会の課題に対応する人権教育とその実践に関する理論的研究として、教育コミュニティ形成における学校を拠点とした地域教育活動と人権教育の位置づけに関する理論的検討を中心におこなった。地域社会の課題に対応する人権教育においては、地域社会の課題としての人権問題に対して、学校が家庭・地域と連携して問題に対処しあるいは協働して解決への実践に取り組むことが必要であり、その過程において教育コミュニティの必要性が認識され、教育コミュニティ形成への志向が促進されることがいつくかの連携に関する実践研究や教育コミュニティ論から確認された。 次に、人権教育と教育コミュニティの関連に係る学校と家庭・地域の連携活動の現状に関する学校調査(第一次調査)の一環として、都市部とは異なる条件下にある「地方」の徳島県における人権教育ならびに家庭・地域との連携に関する基礎的資料の収集として、県下の小中学校における人権教育の現況と課題について、教育関係者からの聞き取りをおこなった。そこでは、地域社会の課題としての人権問題として、従来の「同和問題」への対応が今日も重要な課題として認識されている。その背景には、地域社会の課題に対応する人権教育としての「同和教育」が、「「同和教育」を教育の中核とする」ことを基本原則とする認識により、学校教育の基本理念としての位置づけをもって実践されてきた歴史的経緯がある。しかしながら、教育行政施策としての「同和教育」は関連法の失効により施策上の位置づけが変容し、学校教育の場で人権教育の新たな展開が求められている現状において、「同和教育」の理論面・実践面での成果と課題が十分に検証されないままに、実践の担い手であった中堅以上のベテラン教員から若手・初任教員への継承の困難であることが、現在の「地方」の人権教育における中心的な課題であることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度の研究実施計画のうち、研究課題に係る理論的検討については、当初予定どおりおおむね順調に進展したが、平成28年度に実施を計画している学校調査(第二次調査)の対象地域の選定について、平成27年度における県下の教育関係者からの聞き取りで確認された課題の検討から、限定的にその課題がとくに顕著な市町を選定することとし、教育関係者からの聞き取りを拡張することとした。そこで、人権教育に係る学校と家庭・地域の連携の現状に関する動向把握のための学校調査(第一次調査)を全県的な規模で実施するという当初予定の方法と内容を変更したことにより、学校調査(第二次調査)の対象地域の選定手続を平成28年度当初にも継続して実施することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究実施計画に大きな変更はない。ただし、学校調査(第一次調査)の実施手続等を変更したことにより、平成28年度からの学校調査(第二次調査)について、当初に計画していた対象地域の現状把握の手続等を再検討し、それに対応した調査の内容と方法を再設計していくことが必要である。
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