2015 Fiscal Year Research-status Report
学習に困難を抱える児童生徒の算数数学学習のつまずきと支援の体系化と指導の研究
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15K04397
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
中村 好則 岩手大学, 教育学部, 准教授 (00613522)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 学習困難 / 数学困難 / 算数困難 / 特別支援 / ICT活用 |
Outline of Annual Research Achievements |
算数数学学習におけるつまずきと支援に関する先行研究や文献を調査し,その質問紙調査とテスト調査,訪問調査のための内容を検討し,調査項目を作成した。質問紙調査とテスト調査の研究協力校を,小学校,中学校,高等学校,大学校に依頼し,質問紙調査とテスト調査を実施した。それらの調査結果をもとに,訪問調査する学校を選出し,算数数学学習におけるつまずきと支援を具体的に同定するための授業の観察とビデオ分析を行った。 その結果,学習に困難を抱える児童生徒の算数数学学習のつまずきと支援の現状と課題について,(1)算数数学学習におけるつまずきと支援は,「学習内容に関するつまずきと支援」と「学習活動に関するつまずきと支援」があること,(2)学級全体を対象とした支援と学習に困難を抱える児童生徒個人を対象とした支援があることが明らかとなり,これらを分類整理と体系化のための観点とした。さらに,(3)学習に困難を抱える児童生徒は自分自身の学習困難の状況を正しく把握していないこと,(4)小学校や中学校までは算数数学学習のつまずきがほとんどなくとも中学校や高校で数学につまずきが現れる場合が少なからずあること,(5)小学校算数からつまずいている児童生徒と中学校数学以降からつまずきだした生徒のつまずきと支援については,その原因をさらに詳細に調査する必要があることなどが明らかとなった。 また,学習に困難を抱える児童生徒のつまずきと支援の体系化の結果をもとに,ICTを活用した指導法を開発し予備実践を行い,指導プログラムを開発するための基礎的な資料を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究協力校のもと,質問紙調査とテスト調査,授業のビデオ分析を行うことができ,学習に困難を抱える児童生徒のつまずきと支援の現状と課題を把握することができた。 また,現状と課題の分析を通して得られた観点をもとに,つまずきと支援について分類整理し,それらの体系化を図ることができた。しかし,体系化については,実践を通して,さらに精緻化と構造化が必要である。 学習の困難を抱える児童生徒の算数数学学習のつまずきと支援の体系化の結果をもとに,ICTを活用した指導法を開発し,予備実践を行い,指導プログラムを開発するための基礎的な資料を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
学習に困難を抱える児童生徒のつまずきと支援の体系化及び予備実践の結果をもとに,指導プログラムを開発する。指導プログラムの開発では,実践協力校を依頼し,指導プログラムを用いた授業を分析することを通して,PDCAサイクルによって行う。特に,(1)つまずきの実態把握と評価の方法,(2)つまずきの体系化をもとにしたつまずき間の関連に配慮した支援,(3)多層指導モデルを参考にした,多数の児童に見られるつまずき(第1層),少数の児童生徒に見られるつまずき(第2層),特定の児童生徒に見られるつまずき(第3層)に対する多層的な支援,(4)ICTの活用の4点を考慮し開発を行うこととする。また,指導プログラムの開発過程において,「算数数学学習のつまずきと支援の体系化」の精緻化と構造化を図る。
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