2015 Fiscal Year Research-status Report
小学校から中学校への移行期の生徒の関数的思考の進展を促す継続的な授業のデザイン
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15K04405
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
日野 圭子 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (70272143)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 関数 / 比例と反比例 / 学習軌道 / GeoGebra / 数学的談話 / 授業分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の成果は以下の通りである。 1.先行研究のレビューを進めた。具体的には,大谷氏らの一次関数という数学的対象の構成の研究,Sfard氏の談話研究,Harel氏の学習軌道(DNRの指導原理)の研究をレビューし,特に,DNRの指導原理(Dualityの原理,Necessityの原理,Repeatedreasoningの原理)に基づいた「数と式」「関数」領域での授業計画については,日本数学教育学会秋期研究大会において発表した。 2.中学校1年の関数領域の内容・教材分析に基づいて,比例・反比例の単元の授業のデザインを行った。更に,11月から12月にかけて,栃木県内の公立中学校の協力の下,1クラスで授業実践を行った。授業では,GeoGebraを用いるとともに,関数の構成を促すような活動や授業の流れを考えた。教師には授業シナリオを提供し,授業中の様子をビデオカメラおよびフィールドメモに記録した。日野の他に,内地留学生2名の協力を得て,データの収集を行った。 3.実践された授業については,現在,教師の談話の分析を進めている。GeoGebraというデジタル教材を用いる場面において,教師が関数や比例について何を語っていたかを描写し,宇都宮大学教育学部の紀要に論文として投稿した。論文では,教師がグラフと結びついたかたちで「動き」についての語りを顕著にしていること,動いている対象と動きの見え方を区別するような語りをしていることを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下のような事情から,予定が変わりつつあるが,おおむね順調ではある。 ・授業実践をお願いする予定の教員の一部が,異動等によって連携がし難くなった。その一方で,今年度は先行研究レビューをメインに考えていたが,授業実践に協力してもらえることになったため,予定よりも早く具体的な作業に入ることができた。 ・授業実践を毎時間参観したいが,自分自身が予想以上に忙しく,なかなか時間を合わせることができない。データ収集の協力者が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,当初の予定とは少し計画が変わってくるが,問題解決をしながら進めていきたい。次のような推進方策を考えている。 1.現在行っている教師の談話の分析の後,比例・反比例の授業の改善を図っていく。その際,生徒の談話についてのデータを得るための工夫が必要である。 2.比例・反比例の授業を中心に据え,その後,対象にする単元を広げていく。 3.研究協力をお願いする新たな教員も考えていく必要がある。
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Causes of Carryover |
予定していた学会への参加が難しくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
授業での学習活動において,タブレットPCを用いたものを考えているため,そのために使用する予定である。
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Research Products
(3 results)