2015 Fiscal Year Research-status Report
科学的リテラシーを育成する天文分野の探究学習プログラム開発に関する実証的研究
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15K04407
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
栗原 淳一 群馬大学, 教育学部, 准教授 (90583922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 辰至 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (90244186)
濤崎 智佳 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (40356126)
益田 裕充 群馬大学, 教育学部, 教授 (30511505)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中学校理科 / 天文分野 / 科学的リテラシー / 空間認識 / 仮説検証 / 作図 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、中学校天文分野の学習で科学的リテラシーを育成する上で重要となる満ち欠けの理解に関わる空間認識能力に影響を及ぼす諸要因を調査から同定し、その因果構造を明らかにした。因子として、「関係性の数学的図式化」、「天文への関わり」、「理科学習への好感度」、「日常の方位認識経験」、「問題解決への論理的思考」、「小学校天文学習への好感度」の六つが同定できた。この六つの因子と空間認識能力の七つの変数についてパス解析を行った結果、「天文への関わり」、「日常の方位認識経験」、「小学校天文学習への好感度」の三つが空間認識能力に間接的に影響を及ぼしていることが明らかとなった。また、「問題解決への論理的思考」と「関係性の数学的図式化」が空間認識能力に直接的に影響を及ぼしていることが明らかとなった。これらの結果を踏まえ、中学生の満ち欠けの理解に関わる空間認識能力を育成するためには、満ち欠けが起こる仕組みを説明するための論理を思考させる場面を導入するとともに、天体・太陽・地球の位置関係と天体の陰の関係性を視覚化させる指導が重要となることの示唆を得ることができた。 次に、因果構造を踏まえて満ち欠けの指導方略を検討し、天体の位置関係を作図によって位相角でとらえさせる指導が、満ち欠けの現象を科学的に説明する能力の育成に与える効果について実証的に検証した。検討した指導は、作図によって満ち欠けが位相角によって変化するという仮説を形成させ、モデル実験においてその仮説を検証させるというものである。本指導方法は、満ち欠けの現象を空間認識的に理解させたり、科学的に説明したりする能力の育成に有効であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査結果の分析を効率よく進めることができ、満ち欠けの学習についての指導方法の検討とその有効性の検証に取りかかることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、「地球の公転と見える星座の関係」の学習について、教材と探究学習プログラム及び検証のための質問紙の開発を行う。また、検証授業を実施する。
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Causes of Carryover |
研究計画では次年度に開発する教材材料について一部購入を検討していたが、次年度の検証授業実践者決定後の購入が現実的であったため、その分の購入がなく次年度に充てたため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度検討して今年度使用分とした調査・実践に関わる開発費に充て、研究を加速させる。
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Research Products
(2 results)