2017 Fiscal Year Research-status Report
言語活動から切り離さずに「表現の工夫」を扱うための日本語学・心理学の連携的研究
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15K04420
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
岩男 考哲 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (30578274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 史 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (80608026)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 国語教科書 / 英語教科書 / 言語獲得 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の実績は大きく2つに分けられる.1つは,検定を受けた学校教科書内の言語の実態に関する調査.もう1つは,日本語を母語とする子どもの言語の獲得過程に関する調査である. まずは,1点目から概要を述べることにする.今年度は,国語科教科書と英語教科書において「異文化間交流(「他者」との交流)」が描かれている場面を抽出し,そこに見られる各教科の「言語観」について考察した.まず,各教科の学習指導要領の内容を精査し,そこからそれぞれの教科において「コミュニケーション(能力)」が非常に重視されていることを確認した(例えば,国語科の学習指導要領では,コミュニケーションを意味する「伝え合う」という言葉が8度も用いられている).そして,教科書の中身に関する調査から得られた結果としては,(英語教科書との比較の結果)国語の教科書で描かれる「異文化間交流」の場面では,「困った状況にある者」と「それを助ける者」の二者による交流(コミュニケーション)が,英語教科書と比べて,圧倒的に多いことが明らかになった.このことから,国語科の想定する言語の働きの1つとして,他者を何らかの形で支援することを目的としていると考えられる.これは本研究の目的にとって大きな知見だと言える. 次に,2点目の概要を述べる.研究参加者間の議論の結果,本研究の目的のためには,教科書の調査に加え,言語の獲得の現状についても知る必要があるという結論に至った.そのための第一歩として,日本語の母語話者の言語獲得の調査を行った.また,その派生的な研究として,肢体不自由児の言語獲得の状況との比較も行えることとなった.この2点目については現在成果をまとめている最中であるが,動詞の獲得における身体性の重要さが明らかになりつつある.これは,特に小学校低学年における国語教育へ応用が可能な知見だと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定に比べ,やや遅れている.それは,研究代表者が職場を異動したことにより,研究環境に変化が生じたこと,また,異動の結果,共同研究者との所属が異なることになったため,(以前に比べると)研究者間の連絡が多少取りづらくなったことに起因する.
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Strategy for Future Research Activity |
上述の理由(研究代表者の職場異動)により,連携手段や役割の再調整等が必要となったが,現在はそれも落ち着き,異動前と同じようなペースで研究を行えている.共同研究者同士が異なる職場の所属となったため,打ち合わせのために場所の移動が必要となったが,それについては出張に加え,メールやスカイプ等,インターネットを活用した打ち合わせを有効に行っていきたい.
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Research Products
(8 results)