2015 Fiscal Year Research-status Report
幼児の造形遊びを活性化する土素材「スーパークレイ」の開発と実践的活用
Project/Area Number |
15K04422
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
竹井 史 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (60226983)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 利用土 / スーパークレイ / 珪砂 / 彫塑用粘土粉 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、河川プラントより排出される泥水を高圧プレスでろ過した後に残る残土(利用土)の特性に注目し、その土の教育、保育における可能性について検討を加えてきた。それらの土は安価で安全であり、一定程度の水分を加えることで、適度な粘性、可塑性を帯び、乾燥状態においても容易に粉砕でき、水分の吸収においても高評価を持つ優れた土素材といえる。他方、本素材は、全ての地域において常時入手可能なものとはいいがたく、同様の特性をもつ代替素材の開発が望まれる。 このような背景のもと、特性を維持しつつ安定的に供給できる土環境の開発が必要とされ、本研究では、それらの特性をもつ土を「スーパークレイ」と命名し、その土素材の開発を行うものである。 利用土の特性を検討するプロセスで同様の特性をもつと考えられる様々な土素材の可能性の検討を行ったが、最も安価で、安定的に供給可能な、硅砂(SiO2)と彫塑用粘土粉の組み合わせにその可能性を見出すことにした。 本年度においては、①利用土を保育環境にねんど場として、設置し、園児の日常的な遊びの中に位置づけ、幼児が遊びの中でその土素材の特性を理解する環境を作る。②上述した硅砂、彫塑用粉について粒度分布を明らかにするとともに、③上述した入手可能な硅砂(4号~8号)について、その特性を確かめ、それぞれの硅砂に彫塑用粘土を混入させ、水分を加えた際の特性に関する検討を行った。現在においては、硅砂の6号または7号の粒度をベースに彫塑用粘土粉を加えることで、利用土に近い特性を持たせることが出来ないかについて考えるに至っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由としては、大きく3つの理由があげられる。 まず、利用土等の具体的な実験フィールドを刈谷市公立保育園の保育現場に得られたことにより、実践的に観察、検証する環境が整っていること。 次に、美濃粘土株式会社の研究協力を得ることで、スーパクレイの開発における原材料に関する貴重な示唆を得ることができ、研究の方向や課題が具体的になってきた事。 最後に、土や粘土の状態を実体顕微鏡とレーザー分析の併用によって随時、観察やデータをもとに進められることでスーパークレイ開発への具体的な見通しを持てることなど。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方向としては、これらの研究環境や成果を生かしながら、大きく3つの方向を考えている。 ①まず、更に有益な特性をもつスーパークレイの開発を精密に行い、その混合比率を明らかにすること。その際、加えられた水分量による粘性や可塑性に関する評価を加味しながら、理想的なスーパークレイ開発への混合比率を明らかにしていきたい。②そのプロセスで得られた土環境のいくつかを保育現場に設置することによって、すでに設置している利用土との使用頻度、使用内容の差違に関する比較検討、そしてその成果や改善点を実践的に明らかにしたい。③また、珪砂と彫塑用粘土粉以外にも予想される土素材の可能性についても同時に検討していきたい。
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