2016 Fiscal Year Research-status Report
日韓中の国際経済リテラシー調査とカリキュラム及び授業単元開発に関する研究
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15K04428
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
裴 光雄 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (60263357)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 日韓教育課程比較 / 韓国2015改定教育課程 / 日本2020新学習指導要領 / 総論の内容・特徴変化 / 社会科の内容・特徴変化 / 経済領域の内容・特徴変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は本研究の後半部分、「カリキュラム及び授業単元開発に関する研究」に取り組んだ。韓国では新しい教育課程(日本の学習指導要領に相当)、すなわち2015改定教育課程が制定された。この韓国の新しい2015改定教育課程について、これまでの教育課程と比較して、どのような新しい内容と特徴を持つものなのか、を把握するために、まずは文献・資料収集を行った。具体的には、ソウル教育大学の附属図書館を訪れ、文献・資料の閲覧・複写を行った。韓国教科書研究財団が発行している『教科書研究』の最近の号を全て閲覧し、必要と思われる研究論文、つまり教育課程総論、社会科、経済領域、に関する論文は全てコピーした。収集した文献・資料を読み込み、分析・考察し、いわゆるサーベイ研究を実施し、研究ノートを作成した。 また、2016年度日本経済教育学会全国大会(於:流通科学大学)へ、韓国経済教育学会会員で釜山教育大学社会科担当(経済)教授の金龍民教授と韓国経済教育学会副会長で慶尚大学師範学部の金景模教授を招聘し、自由論題での研究報告をして頂いた。報告テーマは「韓国における2015年小学校社会科教科書改訂と経済教育領域の変更」であり、研究代表者(私)にとって、まさに最新の現地韓国の教育・研究状況を知る貴重な機会となり、多くの知見をもたらしてくれた。 なお、研究代表者も2016年8月に韓国経済教育学会夏季学術大会にて、「日本の経済学参照基準に関する議論の整理と考察」というテーマで研究報告を行った。その際、上述の金景模教授からは大変有意義なコメントを頂いた。日韓の経済教育学会の学術交流の推進という視点からも、成果を収めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「概要」で上述したように、研究の後半部分に関する文献・資料収集を基本的に終えることができ、この部分の研究執筆に係わる目途はついた。韓国の2015改定教育課程の総論、社会科に関する原文は全てダウンロードし、資料は入手しており、また参考文献も現地で収集した。あとはこれらの文献・資料を精力的に読み込み、翻訳し、ノートを作成して行く。現在、新教育課程の原文および文献では、『教科書研究』の第81号の「特別企画」として掲載されている、韓国教育課程評価院専任研究員のチョン・ヨングン氏の「2015改定教育課程に従う教科書開発の方向」(総論)と、ソウル大学モ・ギョンファン教授の「社会科教育課程と教科書開発の方向」という2つの論文から精読、翻訳を行っている。これらの作業は引き続き継続して順調に進められる展望である。 但し、研究の前半部分の「日韓中の国際経済リテラシー調査」に関わっては、進捗状況が順調とは言えない。いずれにせよ研究代表者による勤務校での予備的調査の調査を終え、次年度後期に日韓で全面実施を行い、年度中に調査結果をまとめる。中国での現地調査は実施可能性の可否も探りつつ準備していく。日本のある中国研究者によれば、今日現地でのアンケート調査を実施・収集するというような活動には、当局がかなり神経を尖らせており、内容自体に関わらず、そのような行為自体が問題視される状況にあるという。このような状況で、どのように対処して実施できるか、中国側の海外共同研究者を日本に招聘し、対策と方法を議論する。
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Strategy for Future Research Activity |
国際経済リテラシーに関する設問・アンケート調査用紙の開発・作成、先行研究のサーベイ、勤務校での予備的調査の実施等、本研究に必要な作業が全般に亘って進められたが、全面的・本格的実施ができていない。韓国側との日程調整が上手く出来なかったことによる。次年度は8月及び9月に訪韓し、ソウル教育大学を始めとする幾つかの大学で韓国側の海外共同研究者たちの協力を得ながら、現地でアンケート調査を実施し、データーを収集する。その調査結果を中間報告的に紀要等に研究論文として投稿し、公開する。 中国での現地調査は実施できるようになれば、まずはアンケート調査用紙を中国語に翻訳し、その用紙を持って現地を訪れ、海外共同研究者の支援を借りて、自ら実施する。 「カリキュラム及び授業単元開発に関する研究」に関しては、韓国では新教育課程に基づいた新しい教科書が次年度末に発刊されるので、発刊され次第入手し、経済教育の内容と特徴および変化を把握するように努める。同じように、日本の新学習指導要領における経済教育の内容と特徴および変化を把握することによって、日韓比較を行う。その際、授業単元開発に関しては、経済教育へのアクティブラーニングを導入した授業実践(日本)と経済教育における「自己主導的学習」による授業実践(韓国)の両国比較(共通点、相違点、意義、理念、成果・評価、課題など)に焦点を当てて、分析・考察を進め、研究を仕上げる。また経済教育のカリキュラムマネジメントの日韓比較も出来れば行いたい。
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Causes of Carryover |
本年度は中国側の海外共同研究者との協議・確認を研究代表者が訪中して実施する、あるいはそれが無理な場合、先方を招聘して実施する予定であった。だが、双方の都合が合わず、これらいずれもが実施できなかった。そのため、前年度繰越金がその分生じることとなった。したがって、前年度未使用額は訪中旅費ないし招聘旅費として支出される。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は韓国経済教育学会夏季学術大会(京仁教育大学京畿キャンパス)、日本経済教育学会全国大会(富山大会)、日本経済教育学会春季研究集会(松山大学)などの学会参加・報告のための旅費。国際経済リテラシーに関する設問・アンケートの韓国語・中国語への翻訳料。アンケート調査実施のための訪韓・訪中のための旅費および研究交流のための訪日招聘のための旅費。研究協力に対する謝金。これらの費用として支出される。
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Research Products
(1 results)