2017 Fiscal Year Research-status Report
日韓中の国際経済リテラシー調査とカリキュラム及び授業単元開発に関する研究
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15K04428
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
裴 光雄 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (60263357)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 韓国経済教育の新動向 / 韓国の2015改訂教育課程 / 創意融合 / 「第4次産業革命」 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は前年度に引き続き、まず本研究の後半部分、「カリキュラム及び授業単元開発に関する研究」に取り組んだ。韓国では、2015改定教育課程の総論における最も重要な文言であり、ビジョンとされるものは、①「未来社会が要求する創意融合型人材養成」、②「学習経験の質改善を通じた幸福な学習の具現」である。①は2009改定教育課程においても謳われたが、今次の2015改定教育課程にも引き続き強調されている。 2010年代に入ってからは、融合教育という教育ビジョンが唱えられ始めるが、近年それと軸を一にするのが「第4次産業革命」という現代規定の概念であり、またそれは「未来社会」を創造する核心的な技術革新を意味する。韓国の未来社会は、世界を席巻する「第4次産業革命」下のグローバルな国際経済での革新技術開発の競争に打ち勝つことによって、光をもたらされる。この国家的課題に取り組むために教育課程に追求されたのが、創意融合型人材養成に他ならない。先の①が国家、生存、競争いう次元から追求される教育的要請であるならば、②は個人、豊かさ、共生という次元から探求される教育目的・方法である。経済教育は①および②とも深く関連する、社会科教科内容の重要な学習領域の一部である。 2015改定中学校社会科教育課程とそれを具現する教科書において、経済教育の内容がどのようなものか、またどのように変わったのか、を考察して研究ノートを作成し、研究成果を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「概要」で上述したように、研究の後半部分に関する文献・資料収集を基本的に終え、この部分の研究、すなわち韓国の2015改定中学校社会科教育課程とそれを具現する教科書において、経済教育の内容がどのようなものか、またどのように変わったのか、を明らかにした。しかし、それは先ずは1冊の教科書を取り上げた、詳細な分析・考察にとどまっている。購入した全ての教科書の分析・考察を行う課題が残っている。 韓国の2015改訂社会科教育課程のなかでも、とりわけ経済教育における最も重要なキータームである「第4次産業革命」に関する学界の見解を整理する課題がある。韓国社会科教育学会の学会誌である『市民教育研究』(第49巻第4号、2017年)に掲載された、京仁教育大学教授であり、韓国経済教育学会の理事であるパク・ヨンシックの「4次産業革命時代の社会的合意と市民教育の課題」やソウル大学教授のチョウ・ヨンダル他「4次産業革命時代、市民教育の志向と課題」を始めとして、サーベイする必要がある。 研究の前半部分の「日韓中の国際経済リテラシー調査」に関わっては、設問項目を作成し、日本においては予備的調査を実施した。しかし、予備的調査にとどまっているので、次いで日本で本格的調査を行い、さらに韓国・中国でも現地を訪問し実施し、調査結果意をまとめ公表しなければならない。 いずれにせよ、現時点においても日韓中の国際経済リテラシー調査を行いつつ、カリキュラム及び授業単元開発のための教科書分析を進めるという、2つの研究作業を同時進行しなければならない、という状況であるという意味で「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は韓国経済教育学会夏季学術大会(全北大学)、日本経済教育学会春季研究集会(未定)などの学会参加・報告のための旅費。また今年度執行できなかった国際経済リテラシーに関する設問・アンケートの韓国語・中国語への翻訳料。アンケート調査実施のための訪韓・訪中のための旅費および研究交流のための訪日招聘のための旅費。研究協力に対する謝金。これらの費用として支出される。 また、次年度の日本経済教育学会全国大会は大阪教育大学天王寺キャンパスにおいて、日韓の経済教育学会の両国会員の登壇によるシンポジウム、「新世代に求められる経済教育とは、どのようなものであるべきか-日本の新学習指導要領と韓国の新教育課程における経済教育の新たな展開を踏まえて-」を企画する。この企画を通しても、本研究を大いに推進する。
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Causes of Carryover |
今年度執行できなかった国際経済リテラシーに関する設問・アンケートの韓国語・中国語への翻訳料。アンケート調査実施のための訪韓・訪中のための旅費および研究交流のための訪日招聘のための旅費。研究協力に対する謝金。これらの費用が未執行となったため。次年度はこれら全ての研究作業が行われ、年内に執行・支出する計画である。
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Research Products
(4 results)