2016 Fiscal Year Research-status Report
多様な「知覚-表現タイプ」への理解に根ざした美術教育授業モデルの開発
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15K04439
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大橋 功 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (70268126)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 造形表現 / 図画工作科 / 美術科 / 表現タイプ / 視覚型 / 触覚型 / 非視覚型 / 知覚と表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.事例の分析・検討及び集約・公開: 【台湾での調査・データ収集、事例の集約・分析】平成27年度に引き続き、すでに収集済みの事例に加え、新たに台湾(中華民国)において、中華民国児童美術教育学会の協力を得て、5歳児、小学校第1学年から第6学年、中学校、高等学校等において、調査用紙による約200件のデータ収集と集約・分析を行った。 【国内での調査・データ収集、事例の集約・分析】岡山県総社市山手保育園五歳児、兵庫県芦屋市立精道小学校の全学年、岡山県立大安寺中等教育学校の中学部の2年生において、調査用紙によるデータ収集と集約・分析を行った。 【調査の中間発表(公開)】台湾での調査事例について、『知覚と表現の関係に注目した「表現タイプ」の分類について2―台湾での調査事例についての報告―』として第65回日本美術教育学会滋賀大会(8月11日,コラボしが21)において口頭発表を行った。 【国内での研究成果の公開】これまでの国内調査に基づく研究成果を論文『描画活動における知覚と表現の関係に注目した「表現タイプ」についての考察-「歯磨きの絵」にみる特徴的表現を通しての検討-』(日本美術教育学会学会誌『美術教育』No301)としてまとめ発表した。 2.授業モデル基礎研究・一次モデルの開発:事例調査と平行して、被験者の活動状況の観察、撮影した動画の検討を通して、授業の一次モデルを構想し、実証的検証を行う準備をすすめている。実際の検証は最終年度(平成29年度)に行う予定
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内調査、台湾での調査の実施など、今年度に予定した調査については予定通り完了できた。国内調査の集約・分析も一段落させ、その成果をまとめた論文が学会誌に掲載された。また、台湾での調査についても、調査範囲、データ数共に予定通りに実施することが出来、その集約結果をもとに学会で口頭発表を行った。 27年度に追加購入し、40本揃ったアノト式デジタルペンを使った幼児のデータ収集についても、幼稚園、保育園でのデータ収集に活用できたが、調査中に機器の故障やシステムの不具合が起こるなど、課題も残った。この課題については、29年度の授業モデル開発のための制作過程記録を行う中で解決していきたい。 また、ここまで調査を進めてきて、「歯磨きの絵」に見られる表現タイプの傾向が他の題材や自由に描いた絵との関係について、必ずしも一致しないケースが出てきている。この点については新たな課題として残された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、台湾での調査に加え、アメリカでの調査を実施し、その検討した結果について8月上旬に大韓民国、大邱市で開催される国際学会(InSEA2017)において発表する。この発表を通して本研究の意義を伝え、関心を持つ海外の研究者への調査協力を依頼する予定である。 本研究課題における調査はアメリカの調査で終了し、その後は本研究の最終目的である授業モデルの開発について専念する、具体的には、一次モデルの策定をさらに進め、研究協力校園において実証的検討を行う予定である。 本研究課題における研究成果は、日本美術教育学会誌『美術教育』に投稿し、公開する予定である。
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Causes of Carryover |
2017年に予定しているアメリカでの調査に協力者を2名帯同する必要があること、現地での調査に協力者への謝金や施設使用料が発生することが分かったため、28年度内の調査データ集約のための人件費等の使用を中止し29年度に使用額を残した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は2017年4月末から5月にかけて予定しているアメリカでの調査費用に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)