2016 Fiscal Year Research-status Report
国際的な研究文脈におけるわが国の数学教育研究の特徴と傾向
Project/Area Number |
15K04441
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岩崎 秀樹 広島大学, 教育学研究科, 名誉教授 (50116539)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 好貴 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (40624630)
大滝 孝治 北海道教育大学, 教育学部, 特任講師 (90750422)
真野 祐輔 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (10585433)
杉野本 勇気 長崎大学, 教育学部, 准教授 (40637477)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | メタ研究 / 日本型研究プログラム / 社会的過程としての数学教育 / グローバル化 / 授業研究 / 方法論 / 論文タイトル / 引用・参考文献 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は本科研事業の2年目にあたり,前年度から課題とされていた「国際的な研究文脈におけるわが国の数学教育研究の特徴と傾向」という研究主題にアプローチする方法論の開発を引き続き議論するとともに,その方法論を用いた分析をおこない,研究主題にアプローチしている。 2016年6月25日に全国数学教育学会第44回研究発表会会場の高知大学朝倉キャンパスで第1回研究集会をおこなった。前年度は『数学教育学論究』を開発した方法論で分析し「わが国の数学研究の傾向と特徴」を記述しているが,その方法論を『全国数学教育学会誌』に用いて分析をおこなっており,その方法論の妥当性,また分析結果の妥当性が協議された。無論,そこでは同様の枠組みを他の対象に用いるだけではなく,昨年度の成果である『数学教育学論究』の分析結果との比較が可能になり,本研究主題に対する新たな知見もみることができた。さらに,研究代表より講演がなされ,本科研事業の思想的基盤が再認識された。 9月20日に第2回研究集会が兵庫教育大学神戸ハーバーランドキャンパスを会場になされた。本研究ではあえてグローバル化の中に「数学教育」を置き,わが国の数学教育研究の傾向と特徴を主題とするが,基本的な問題はそれを可能とする手法にあり,多様な分析対象に対応し得る方法論の開発が求められる。これまでの手法を見直し拡張するととともに,分析対象に応じて必要となれば新たな手法を開発することが求められうる。ここでは,日本語論文と英語論文における査読留意点に着目し,それらの比較を中心として,その分析手法が議論された。また,前回の研究集会で議論された『全国数学教育学会誌』の分析に対して再度検討がなされた。さらに,これらの議論を受け,2017年1月29日の全国数学教育学会第45回研究発表会にて,この内容を口頭発表している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,昨年度に引き続き,研究論文のタイトルを「入り口」,引用・参考文献を「出口」として,わが国の数学教育研究の傾向と特徴を調査した。タイトル分析については,新たな研究誌を分析対象として,前年度の成果の妥当性の検証および方法論の精緻化を行なった。引用・参考文献の調査については,様々な方法で試行錯誤を繰り返した。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度は特に,研究論文の「出口」にあたる引用・参考文献の調査を重点的に行う。2010年に「Mathematics Education: Major Themes in Education」という書籍が出版された。全4巻の1600ページにもおよぶ大著である。この書籍は,これまでの数学教育研究における重要論文を集めた,いわば数学教育学のアンソロジーである。ここに掲載されている論文のわが国での引用・参照状況を調べれば,国際的な研究文脈におけるわが国の数学教育研究の性格の一旦を明らかにできるのではないかと考える。また来年度は研究最終年度であるため,これまでの研究成果であるタイトル調査や引用・参考文献調査の成果を総括的に考察していく必要があるが,上記のような既に出版されている数学教育研究Handbookにおける理念や枠組みなどが,理論的基盤となりうると期待している。
|
Research Products
(21 results)