2015 Fiscal Year Research-status Report
家庭科授業のユニバーサルデザインに関する実証的研究-二次的困難を防ぐために-
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15K04442
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
伊藤 圭子 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (50184651)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 家庭科 / インクルーシブ教育 / 二次的困難 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、特別な教育的ニーズを要する子どもを包含した通常学級での家庭科授業に焦点をあて、二次的な困難を防ぐため、家庭科授業のユニバーサルデザインにおける指導方法を提案し、さらに家庭科教員を対象とした家庭科授業のユニバーサルデザインチェックリストを作成することを目的とする。 本年度は次の三点について実施した。一つ目はインクルーシブ教育およびその指導方法、授業のユニバーサルデザイン等に関する国内外の文献、資料を収集し、分析した。二つ目は、特に家庭科における実習学習及び体験学習における安全教育に焦点をあてて、特別な教育的ニーズを要する子どもを包含した通常学級での家庭科授業における二次的困難の実状を家庭科担当教員にインタビュー調査を実施することによって把握し、問題点を明らかにした。生活経験が乏しい子どもが多く存在する状況において、ほとんどの子どもが特別な教育的ニーズを要する子どもとしての対象者である現状が明らかになった。さらに、児童生徒の関わり合いの中で、思いがけない怪我が生じることがあり、具体的な場面を想定してどのような困難状況が生じるのかを考えさせる指導が必要であることも明らかとなった。三つ目は、二つ目で明らかになった問題点を基に、特別な教育的ニーズを要する子どもを包含した通常学級での家庭科授業での二次的な困難を防ぐための観点を明らかにした。さらに、この観点を踏まえて、小・中学校家庭科担当教員と特別支援教育を専門とする大学教員と家庭科教育を専門とする大学教員とが協働して、家庭科授業のユニバーサルデザインの指導方法を提案していく組織作りを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実習学習及び体験学習においてではあるが、小・中学校の家庭科におけるインクルーシブ教育の問題点が明らかになり、二次的困難を防止するための観点を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
インクルーシブ教育における二次的困難を防止するための家庭科ユニバーサルデザインの指導方法等を開発する際の示唆を得るため、インクルーシブ教育における授業実践の蓄積があり、家庭科が教科として存在し、合理的配慮に留意した先進的取り組みを行っている国の研究者、行政機関および学校において、インタビュー調査と授業実践の参観・記録を実施する。その結果を基に、日本の家庭科教員、特別支援教育教員と協働して、家庭科授業のユニバーサルデザインの指導方法を提案する。
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