2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the history of Chinese culture education lessons in Japan after Second world war
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15K04447
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
渡辺 春美 高知大学, その他部局等(名誉教授), 名誉教授 (10320516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 茂樹 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 准教授 (20737837)
冨安 慎吾 島根大学, 教育学部, 准教授 (40534300)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 漢文教育 / 漢文教育実践史 / 漢文教育思潮史 / 漢文教育の創造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、(1)戦後漢文教育実践史、(2)漢文教育論史、(3)漢文教育課程史、(4)漢文教育(カリキュラム)の構想の研究にあった。以下、研究成果を略述する。 上記「(1)」の研究では、実践史と個体史とから研究を進めた。実践史は、時期区分を行い、特色を、①昭和20年代―経験主義に基づく漢文教育、②昭和30年代―主体性を生かし能力を育成する漢文教育、③昭和40年代―主体性を生かし、能力育成と心情陶冶に資する漢文教育、④昭和50年代―日本文化の理解に資する漢文教育と捉えた。また、個体史研究では、清田清・佐野泰臣・長谷川慈成を対象とした。その内、清田清は、時の権力に左右されない普遍的漢文教育を学習者の主体性と創造性を生かして行った。佐野泰臣は、グループによる主体的学習を情報器機を活用して追究し、成果を上げた。 「(2)」と「(3)」の研究は、最終的には「漢文教育思潮史の研究」としてまとめた。思潮史の展開は、漢文教育の典型性を中心に、①整備期(昭和20~26年)、②多様期(27~30年)、③収束期(31~40年)に分けてとらえた。漢文教育の典型性を、①授業編成―現代文・古文と漢文を切り離した取り扱い、②教育内容―漢文訳読力育成中心、③テキスト形態―訓点文の3点からとらえ、昭和40年代に確立したと結論づけた。 「(4)」においては、中・高での現場経験の豊かな協力者を得て、教材の開発、「実の場」における言語活動、現代文と古文との統合等に基づき、学習者が自由に思考し、問を発し、相互に交流する中で、読む力を高め、ものの見方考え方を豊かにする方向が打ち出された。これは、実践史を発展的に継承し、上記の漢文教育の典型性を切り拓く新たな試みとして位置づけられる。構想に基づく小・中・高の漢文の授業研究も行った。 本研究の成果は、報告書『漢文教育の創造』として刊行し、文献目録も収載している。
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Research Products
(8 results)