2016 Fiscal Year Research-status Report
「主体性が育つ」場としてのアート教育の対話的授業論からの検討
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15K04458
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
宮崎 清孝 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (90146316)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アート教育 / カリキュラム構成・開発 / アクションリサーチ / 対話主義教授論 / 主体性を育てる |
Outline of Annual Research Achievements |
28年度には以下の研究を実施した。 理論的な面については、27年度に引き続き、基礎となる対話主義授業論について、文献探索、レビューをおこなった。昨年度見えてきた主体-世界-他者からなる三項関係の観点についてさらに検討し、ある程度の骨格が見えてきた。 データの取得については以下の三箇所でおこなった。一つは本研究のメインとなるデータ取得地であるI幼稚園におけるアートワークショップ観察である。その準備である6,7月のそれぞれ1日、さらに本番である8月に観察した。次に副次的なデータ取得として、福岡県のF中学校での小学生の絵画教室の観察を8月に、研究協力者1名とおこなった。同じく副次的なデータ取得として、長野県のN小学校での授業実践観察を5,10,11月の3回、それぞれ1日研究協力者1名とおこなった。内容的には理論的な基礎である対話主義授業論に関わるものである。なお旅費について科研費からの予算支出は研究協力者分のみである。 ビデオデータ分析を通して、作品の制作過程について、特に大人の役割と、遊びとアートの関わりという観点から分析した。「アート」と「遊び」の共通性と違いが、新しい未開拓の問題として浮上してきた。双方ともに想像が重要な役割を占め、また日本のでは子どもの活動をすべて遊びだと考えることが多い。他方、ヨーロッパではイタリアのレッジョエミリアなどに典型的に見るように遊びの重要性が非常に低くなっている。それに対し、I幼稚園の実践では、アートの持つ子どもの主体性の育ちへの意義について確信を持ちつつ、同時に想像遊びも積極的に推進している。三項関係の中での「世界」項が、アートでは特に「作品」として存在するが、これがアートの遊びとは区別される子どもの主体的な育ちに持つ働きに関わる可能性が見えてきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた活動の内、 ・国際比較として考えていたスウェーデンでの保育施設の観察が、日程上の都合で実施できなかった。 ・海外学会での発表を予定していたが、相手先都合で学会が中止となり、発表できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
国際比較については、さらに相手先との調整を進めるが、困難な場合文献調査に置き換える予定である。 海外学会での発表については、昨年度予定していた学会は今年度もおこなわれない。今年度2カ所での発表を予定しており、それで替えることができると考えている。 他には大きな問題はない。
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Causes of Carryover |
予定していた国際比較のための調査を行えなかった。また予定していた海外学会での発表を行えなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度は最低2回の海外学会発表を予定しており、そのために使用する。
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