2016 Fiscal Year Research-status Report
米国社会科におけるグローバルな資質形成の原理と教員の養成に関する研究
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15K04463
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
森田 真樹 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (60340486)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | グローバル教育 / 社会科教育 / 米国の教育 / グローバル教育の教員養成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、米国の社会科やグローバル教育のカリキュラムや教員養成プログラム等の分析を通して、グローバルな資質形成を促すカリキュラム及び授業のあり方と、その実践を支える指導者(教員)の養成のあり方について解明することを目的としている。平成28年度は、1継続的な関連資料の収集と分析、2米国における社会科教育やグローバル教育の最新の動向を明らかにする、3現地調査によって研究課題について明らかにする、4研究成果を学会等で報告する、という、主に4点について取り組むことを予定していた。 1については、グローバル教育や社会科教育等、関連する教育に目を配りながら継続的な資料収集を行うことができた。学校用の教科書については、購入に時間を要するため、一部のみの収集にとどまったが、次年度も継続的に収集を行う予定にしている。2については、収集した文献等を参考にしながら、米国の最新の動向について明らかにしてきた。従来のグローバル教育や社会科教育という文脈に加えて、わが国と同様に、米国においても、たとえば、ユネスコの提起するグローバル・シティズンシップ教育論、キー・コンピテンシー以降の21世紀型スキルなど、学力観・能力観のグローバル化の流れからも、教育のグローバル化が提唱されており、政府機関主導のグローバル化時代の教育政策等についても検討を進めてきた。他方、3については、現地調査を行う予定にしていたが、訪問予定先の都合や当方の都合によって、訪問時期や適切な訪問場所の調整ができず、訪米することができなかった。4については、米国のグローバル教育の動向を整理した論考を全国社会科教育学会の年報(社会科教育論叢)に投稿し、現在、発行にむけての最終準備が行われている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料の収集や分析などについては、ほぼ予定通りの進行をしている。他方で、相手方や当方の調整ができず、予定していた現地調査をすることができなかった。現地調査ができなかったことが、本年度の研究に決定的にマイナスとなることはなかったが、現地での資料収集やインタビューなどは、研究の成果を実地の場で確認する意味でも重要となるので、次年度以降に実施する予定である。 しかし、直接の現地調査ができなかったことを補うために、学校現場等での実践を明らかにした論考の収集などにも重点を置きながら研究を進めてきたため、本研究の目的の解明という面においては、ほぼ予定通りで進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画では、研究の最終年度にあたる平成29年度は、次の5点を予定していた。 1前年までの収集した資料の継続的分析を行いながら、補足資料の収集を行う。2前半期に、米国への現地調査を実施する。カリフォルニア州ロサンゼルス市の歴史のナショナルスタンダードを開発したUCLAのNational Center for History Educationにおいて、歴史教育ではどのようなアプローチが可能となるかについてインタビュー調査を行うとともに、前年度までに検討したミネソタ州、カリフォルニア州とは異なる状況にある州(フロリダ州やハワイ州など)への調査を予定している。訪問先については、過去2年間の研究の中で選定していきたい。 3これまでの研究を踏まえ、研究課題である、米国の社会科教育におけるグローバルな資質の育成の原理、実際の学校での授業のあり方、さらに、その実践を支える教員の養成のあり方を明らかにする。4本研究で得られた知見が、日本の社会科教育、国際理解教育、ESDなどにどのように応用可能であるのか検討をする。また、グローバル人材の養成を始め、グローバル時代の教育を担う教員の養成という現代的な課題に対しても、どのような示唆を得ることができるのか検討を進める。 平成28年度に現地調査ができなかったため、現地調査訪問先や次期については、再度検討をして、最も適切な訪問場所への変更をする予定であるが、それ以外については、平成28年度までの研究を継続し、研究目的に解明に努めていきたい。また、研究成果の学会誌等への投稿については、投稿時期の問題もあるため、平成30年度の投稿となる可能性もあるが、研究期間終了後から時期を開けずに投稿していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
実施を予定していた米国への現地調査について、訪問先との調整ができず実施することができなかった。そのため、旅費等を計画通り使用することができず、使用予定予算に残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度実施できなかった現地調査は、次年度に実施する予定であるが、訪問先を調整し、調査先を複数とし、調査期間も予定より長く取ることを計画しているため、本年度の未使用分については、次年度の現調査費用として主に執行する予定にしている。
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