2017 Fiscal Year Research-status Report
米国社会科におけるグローバルな資質形成の原理と教員の養成に関する研究
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15K04463
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
森田 真樹 立命館大学, 教職研究科, 教授 (60340486)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 社会科教育 / グローバル教育 / アメリカの教育 / 教員養成 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、研究計画に従って、主に、①前年までの収集した資料の継続的分析を行いながら、補足資料の収集を行う、②米国への現地調査を実施する、③米国の社会科教育におけるグローバルな資質の育成の原理やその実践を支える教員の養成のあり方を明らかにする、④本研究で得られた知見が、日本の社会科教育、国際理解教育、持続可能な開発のための教育(ESD)などにどのように応用可能であるのか検討をすることを目的に研究を推進してきた。 米国グローバル教育の成立過程などにも着眼し、1970年代から1980年代の動向にまでさかのぼって検討を進め、当時の教育内容の現代化運動に関連し、「新社会科」に影響を受けたと思われる国際的情勢についての社会科学的理解が初期のグローバル教育では目指されていたことが判明した。また、1990年代以降、多文化主義の考え方が教育界に浸透する中で、社会科教育においても、「多文化」の扱い方に焦点が当たるようになっていった。関連文献の収集は継続しているが、州のカリキュラムや教科書等の記述のみでは判然としない部分があり、現地調査を実施する計画にしていたが、諸般の事情で、訪問予定先との調整が難しく、現地調査を行うことができなかった。そのため、1年間の研究期間延長を申請しており、平成30年度に実施する予定である。 また、日本への応用可能性を検討するにあたり、新学習指導要領改訂の動向や教員養成・現職研修の改革動向についても検討を進めてきた。社会科におけるグローバル教育を、コンテンツベースで考えるのか、コンピテンシーベースで考えるのか、仮に、コンピテンシーベースで考えるのであれば、当該の実践を支える教員の養成はどうあるべきなのか、という点についてさらに精緻に検討していく必要があることが分かり、米国関係の資料を再検討しながら、これらの点についても継続的に検討を進めていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献の収集等については、おおむね計画通り進捗しており、その分析を進めているが、訪問予定先と当方の日程調整がうまくいかず、現地調査を実施することができなかった。当初計画の訪問予定先を再検討しつつ、最終年度にあたる次年度に現地調査を実施し、文献ではわからない側面について検討をしていきたい。 また、日本への応用可能性を探ることも研究の射程にいれているが、ちょうど、学習指導要領の改訂、教育職員免許法の改正の時期と重なり、新しい展開についての確定的な情報を入手する時期が遅れることとなった。高等学校までの新学習指導要領が平成30年3月に公示されたため、次年度は、新科目等の内容についても検討しながら、日本の学校教育や教員養成制度の現実に即して、研究成果の日本への応用可能性について検討を進めていきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査が実施できなかったこともあり、研究期間を1年延長することとなった。研究計画では、3年間の計画であったが、現地調査の実施や研究のまとめ作業など、計画の中でこれまでに実施できなかった点について、次年度重点的に実施していきたいと考えている。現地調査については、調査対象の米国の多くの機関が、日本の冬期休業時期には休業となることがおおいため、現時点では、夏期に現地調査を実施するように調整を進めている。 また、日本においては、本研究に関わる教員養成や社会科教育について、新免許法や新学習指導要領に関する文献等が今後出版されると思われるため、それらの最新事情についても引き続き情報の収集を行い、研究のまとめに反映していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
訪問予定先との日程調整ができず、米国への現地調査ができなかったため、旅費として考えていた費用を支出することができなかった。次年度は、現地調査を実施する予定にしており、繰り越した費用については、主に、現地調査と文献等の追加での資料収集にあてる予定である。
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