2017 Fiscal Year Annual Research Report
Improvement of Map Study Lessons in Elementary Schools in Order to Instill Scheme of Space Recognition
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15K04464
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
小谷 恵津子 畿央大学, 教育学部, 准教授 (30737317)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地図学習 / 空間認識 / 概念形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、これまで「技能の育成」としてのみ捉えられてきた地図学習を、概念形成という新たな視点から考えることが、我が国の小・中学校社会科で長く課題となっている地図を読み活用する能力の育成に有効ではないかという問題意識のもとで行われた。 まず、小学校教員への調査、我が国の小学校社会科の教科書と方法概念の形成を意図したイギリスの地図教科書マップスタートシリーズとの比較、我が国の地図学習に関する先行研究・先行実践の分析を通して、我が国の地図学習の現状と課題を明らかにした。また、認知科学をはじめとずる先行研究をふまえ、認識形成の視点から方法概念として「地図を読む枠組み」を形成するための方途を考察し、概念形成の視点から地図学習を改善する理論として「視点が果たす役割の重要性」と「からだと結びつきをもたせる指導が不可欠であること」を明らかにした。さらに明らかにした理論をふまえ、小学校第4学年を対象とする地図学習の授業モデル「めざせ!地図マスター」を開発し、実際に授業を行って理論の有効性を検証した。 授業後に実施した評価問題の分析の結果、本研究で提唱する「地図を読む枠組み」となる方法概念の形成を明確に意図して空間認識の枠組み作りを実現する地図学習が、子どもが縮尺や等高線などの地図の約束事を理解することを可能にするだけでなく、いわゆる「地図を読む技能」についても、併せて育成できることが明らかになった。また、「地図を読む枠組み」の形成の過程で、子どもが地図の約束事の意味を理解できることにより、地図に対する子どもの興味・関心を高めることにもつながることが明らかになった。
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