2015 Fiscal Year Research-status Report
子どもの法的社会化の発達過程を踏まえた幼・小をつなぐ法教育教材開発
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15K04468
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Research Institution | Kawasaki College of Allied Health Professions |
Principal Investigator |
中原 朋生 川崎医療短期大学, 医療保育科, 教授 (30413511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須本 良夫 岐阜大学, 教育学部, 教授 (30547691)
樟本 千里 岡山県立大学, 保健福祉学部, 講師 (10413519)
中川 智之 川崎医療短期大学, 医療保育科, 准教授 (50462049)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 幼小連携 / 市民性教育 / 法教育 / 道徳教育 / 社会科教育 / 幼児教育 / 小学校教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
1年目は、米国の法的社会化研究で使用された質問項目の日本版の作成及び予備調査の実施をめざした。質問項目については、米国において既に実績があるコールバーグ派のタップによって開発されたルール順守(コンプライアンス)と人間関係のジレンマ課題による法的社会化の調査を手がかりに、法的社会化の実態を確認するための質問項目の開発を行った。また、質問項目の精度を上げるために、まず幼児への実態調査を支援してもらう学生を対象とした予備調査を繰り返し実施した。ここでは幼・小低学年期の発達段階を考慮し、子どもが絵画資料等によって分かりやすくルール順守と人間関係のジレンマを認識し、回答しやすい質問紙及び調査方法の検討を繰り返した。また、質問項目の作成と並行して、すでに子どもの発達過程を踏まえた法的正義に関する教育を展開している米国の道徳教育カリキュラムに注目し、内容編成やシーケンスの背景にある理論を抽出するカリキュラム研究活動も行った。 1年目は特に、以下の2点の仮説に基づき研究活動に取り組んだ。幼・小低学年期は①法に従う段階とされ、子どもたちに身近な権威者(保護者や教師)による禁止事項を伴う命令が法的ルールと認識される。ここには2つの発達課題がある。第1に身近な権威者との人間関係の中に法的ルールを見出し、状況に独立した法的ルールの認識が困難であること。第2に法的ルールは専ら権威者による命令であり、「法的ルールは自分たちみんなが幸せになるために、みんなでつくって、みんなで守るもの」といった法的ルールの内容の“公正さ”やルール作成の“手続き的正義”を吟味できないことである。今後は、この仮説を検証するために開発した質問項目を使用した実態調査と、結果分析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目は、質問項目の作成及び実態調査までを予定していたが、幼児期及び小学校低学年にも分かりやすく、仮設の検証にも耐えうる質問項目の作成に、予想以上に時間を要した。しかし、3年目に予定しているカリキュラム研究を前倒しして行ったため、全体の研究計画の進行は、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、1年目において開発した質問項目・調査法の妥当性を検証し適宜修正を加えるとともに、本調査を実施する。また調査対象校の先生ともしっかり議論を重ね、実効性のある調査と結果の分析をめざす。
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Causes of Carryover |
予定していた質問紙の印刷を次年度に繰り越したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定していた質問紙の印刷費に使用する。
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Research Products
(3 results)