2017 Fiscal Year Research-status Report
領域横断的な思考を促す小・中学校理科カリキュラムの開発
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15K04471
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
森 健一郎 北海道教育大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (70710755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栢野 彰秀 島根大学, 教育学部, 教授 (50466471)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 領域横断的な思考 / 教科等横断的な視点 / STEM教育 / 7 Crosscutting Concepts / 学習指導要領 / 理科教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、小・中学校理科における理科授業において、「領域横断的な思考」を促すための授業モデルを開発することを目的としている。そのために、理論面と実践面の2つの方向から研究を推進している。 理論面の研究では、現行の学習指導要領で示されている内容を、米国のSTEM教育のフレームで示されている「7 Crosscutting Concepts」(7つの共通する重要な概念)を参考に、系統性を保ちつつ再構成することを試みている。今年度については、7つの概念のうち「Structure and function」(構造と機能)に特に焦点を当て、小学校と中学校の連結を考慮しながらカリキュラムの開発をおこない、論文として発表することができた。教科書を対象とする文献調査では、STEM教育の動向が日本のカリキュラムに与える示唆についての考察を昨年に引き続きおこなった。この考察の結果、平成32年度より順次実施される学習指導要領で謳われている「深い学び」を具体化するための視点を得ることができた。これにともなう学会発表については、国内学会(地方大会)での発表が2件、国際会議での発表を1件おこなうことができた。 実践面の研究においては、アクションリサーチ(PDCAサイクル)の考え方を基本に、質的な方法と量的な方法を併用して、子供の「科学的な知識や概念」の変容過程をイメージマップテストやテキストマイニングなどの手法を用いて客観的に捉えることを重視している。昨年度までの研究成果をもとに、これらの分析手法をさらに発展させることができた。この手法(テキストマイニングのコーディング)については国内学会で発表している。 これらの理論研究と実践研究の成果は、釧路中学校理科教育研究会の研究理論として活用され、第64回全中理北海道大会・第56回道中理札幌大会で研究協力者によって発表されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画に沿って理論面と実践面の2つの方向から研究を推進することができた。 理論面については、国内学会と国際会議で研究成果を発表することができた。また、発表と並行するかたちで論文を作成することもできた。 実践面については、小学校と中学校の双方において授業実践をおこなうことができた。小学校については、平成28年度以降、授業実践がほぼ終了し、改善された授業が通常のものとして実施されているという計画であった。これについては、研究代表者による発表を4th International Conference on Applied Electrical and Mechanical Engineering 2017(開催地Nongkhai、Thailand )でおこなった。共同研究者による授業実践の成果発表は第64回全中理北海道大会・第56回道中理札幌大会でおこなった。また、中学校に関しては、教科書の部分改定を考慮した上での授業研究を昨年度から進めており、その成果については、平成29年度第1回日本科学教育学会研究会(北海道支部開催)および平成29年度日本理科教育学会北海道支部大会で発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、小学校理科については、これまでのカリキュラム研究が終了しているが、改善点の検討をおこなう。中学校理科については、平成29年度に引き続き、理論に基づいた授業実践とその評価をおこないカリキュラム研究のまとめに入る。小学校理科の改善点の検討については、各学年の目標と、STEM教育の“7 Crosscutting Concepts”との関連づけについて検討を進めたい。特に各学年の目標については、改訂された学習指導要領が公開されたことから、前年度よりも具体的なレベルでの検討が可能である。中学校理科についてはイメージマップを活用し、生徒の概念の変容や自己評価に焦点をあてて実践研究を進めている。イメージマップの活用については、特に、生徒に作成させた後の分析の手法について、質的な分析のアイデアが要請されていた。これについては、テキストマイニングの手法を併用することで、分析の視点を増やすことができたことから、平成30年度もこの手法を用いて研究を進める予定である。 小学校、中学校、いずれの授業実践においても、アクションリサーチ(PDCAサイクル)の考え方を基本に、質的な方法と量的な方法を併用して、子供の「科学的な知識や概念」の変容過程を客観的に捉えることをこれまでと同様に重視する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた「人件費・謝金」は授業実践のデータ整理と入力について計上したものであった。しかし、これについては研究代表者本人がすべてのデータ整理と入力を実施したため支出しなかった。残金については、平成30年度の論文作成(英語論文作成時の校正)の費用が、申請時よりも増額になる見込みが生じたことから、その費用に当てる予定である。
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Research Products
(4 results)