2018 Fiscal Year Annual Research Report
Basic research of inclusive education system construction making use of art learning
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15K04483
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
茂木 一司 群馬大学, 教育学部, 教授 (30145445)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | インクルーシブ教育システム構築 / アート教育 / ワークショップ / カリキュラム・教材・ツール開発 / インクルーシブデザイン / 福祉とアート / アートプロジェクト / メディア教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
4年間の「アート学習を活かしたインクルーシブ教育システム構築の基礎的研究」を通した最大の成果は、共生社会をスローガンに多様性(ダイバーシティ)が強く叫ばれ、社会(的)包摂が理念から実践に移されようとしていることをさまざまな場面で感じることができた。I.インクルーシブアートを活かしたインクルーシブ教育システム構築の基礎理論構築のための文献調査及び国内の先進的地域の調査を通して、学校教育(特別支援教育)の取り組みの地域(県)による違い(普通学級への支援に重点を置く地域と特別支援学校が増えている地域等)、美術館等でのさまざまな障害等を受容しようとするアクセシビリティの向上及び障害者自身や芸術家との協働による芸術活動への積極的な取り組み、障害者芸術や高齢者への芸術活動への支援運動の推進、LBGT等、マイノリティに対する社会の眼差しの変化が明らかになった。 特に、多様性を受容しやすいアート(芸術)が共生社会構築の理念的な基礎になるべきという主張は反発もなく、研究成果の発信によって、最近インクルーシブアート教育の講演会等の依頼が増えているなど、好転の兆しが見える。一方で、共生社会構築の基盤になる学校教育、つまり特別支援教育におけるインクルーシブ教育システムへの移行はなかなか進んでいない現状がある。視察した1970年代から始まるイタリアのフルインクルージョンの現場をみると、理念の浸透がどんな分野にも及んでおり、日本における分離教育の弊害もみえる。日本では、芸術教育さえも特殊なものと思われている現状があり、これは経済優先主義の中で、効率とスピードを求めるモダニズム化が隅々にまで浸透し、ここから外れる障害者等が排除される構造が明確になる。本当の豊かさや生きやすさを求めるために(学校)教育にもっと方向性を変える必要を感じるとともに、芸術美術教育の充実によってなすべきと考える。
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