2016 Fiscal Year Research-status Report
市民性を基盤とした「調停する力」の育成を目指す道徳の授業開発
Project/Area Number |
15K04491
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
須本 良夫 岐阜大学, 教育学部, 教授 (30547691)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 敦子 比治山大学, 現代文化学部, 准教授 (00628745)
上野 友也 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (10587421)
柳沼 良太 岐阜大学, 教育学研究科, 准教授 (30329049)
田中 伸 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (70508465)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | メディエーション / 調停 / 対話 / 市民性 / 問題解決 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,いじめ問題。規範意識の低下などを理由に教科化の議論がなされた道徳教育において,いかなる実践力を自己或いは他者とのかかわり合いの中で構築すればよいのかを解明しようとするものである。その際の参考としているものが,社会科教育において求められるより良い市民の育成である。社会には多くの解決しなければならない問題があるが,社会での法学教育で扱われる調停力を整理して,いじめ問題へ対応できる人間関係力をいかに授業へと組み込めばよいのか,①先行研究の整理 ②実際の授業化 を実践し,検討を行った。 ① どのような社会においても,個人や集団間の対立や紛争が必ずあるので、それを解決する手段が求められる。紛争当事者の間で問題を解決できるのであればそれでよいが、そうでない場合には第三者による介入が必要になってくる。 第三者による介入の中でも、仲裁や裁判による場合、時間や費用がかかりすぎ、裁判は原則として公開されてしまうという問題もある。仲裁や裁判という手段を用いないで、紛争を解決する手段が調停である。 そこで,教育,学校生活における調停について,「紛争当事者(児童・生徒)が同意した第三者が,紛争当事者を支援するために紛争に介入するプロセスのこと。なお、その第三者は、紛争当事者にたいして拘束力のある決定を下す権限をもたない。」とした。 ②実際の授業化については,道徳授業という枠組みでは,第三者視点への視点転換が困難であることが少しづつ明らかとなってきた。そこで,内なる自己を見つめる道徳と,第三者視点のソーシャルスキルの育成を取り組んだ特別活動のカリキュラムマネジメントの有効性を図る方向性を模索した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調な経過である。しかし,道徳授業における調停力の育成といった分野の先行研究は,ほぼ無いということが明らかになってきた。その点で,道徳授業,市民性,調停というキーワードを貫く理論の整理の部分では遅れている点も見られる。 再度,調停で必要な能力とは何か,その育成に必要なカリキュラム・マネジメントは以下に実施しなければならないかといったことを確認し,三年目の授業モデル設計と実施にむけて分担者間同士の連携を含めまとめに向かっていけるようにしなければならない。
|
Strategy for Future Research Activity |
道徳授業における調停の概念の活用といった先行事例の整理は,ほぼ皆無であった。そこで,社会諸科学(法学,政治学)で考えられる調停概念から,児童・生徒に必要な力の育成を分担者間で整理をしていく。 また,海外調査で見られたメディエーションの授業を,いかに日本型に縮小していくことが可能なのか,初年度の研究成果との兼ね合いから構築をし,最終年度の研究成果としてまとめられる調停力の育成を目指した授業を提言できるようにしていく。
|
Causes of Carryover |
来年度の図書刊行費に向け,年度当初からの分担費を抑えるように確認し,極力メール鍵でのやり取りを中心としたため,交通旅費が計上額より少なくて済んだ。 また,資料集への学会参加などは,分担者がそれぞれ他の科研費で消化されたため,資料の図書購入費を下記ワーキング中心で消化されるにとどまった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は,研究のまとめとして図書刊行を予定している。研究費残金は,刊行費として使用する。 また,ワーキング会議,研究成果会議および執筆会議を開催するため,会議費,旅費として残金の執行にあたる。
|