2016 Fiscal Year Research-status Report
小中学校理科におけるインタラクティブ・シミュレータを活用した授業モデルの開発
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15K04495
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
後藤 太一郎 三重大学, 教育学部, 教授 (90183813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 大輔 三重大学, 教育学部, 准教授 (00448755)
松本 金矢 三重大学, 教育学部, 教授 (10239098)
三島 隆 三重大学, 地域イノベーション学研究科, 准教授 (40314140)
根津 知佳子 三重大学, 教育学部, 教授 (40335112)
國仲 寛人 三重大学, 教育学部, 准教授 (70402766)
荻原 彰 三重大学, 教育学部, 教授 (70378280)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | シミュレーション教材 / ICT / PhET / 授業モデル / CST |
Outline of Annual Research Achievements |
理科教育の中で、児童生徒が身近な現象に関心を持ち、正しく現象をとらえるように、様々な条件設定をして理解を深めるステップを取り入れることが重要である。本研究では、小中学校理科において、パソコンさえあれば実施可能なインタラクティブ・シミュレータであるPhET(The Physics Education Technology Project)を導入した授業モデルを整備し、児童生徒が身近な現象について考え、主体的に探究する授業展開例を具体化するとともに、その教育効果を評価することを目的としている。 本年度は、まず、PhETのコンテンツを活用できる単元について授業モデルを作成し小中学校教員が実施した。電気に関する単元でPhETの「直流回路キット」を用い、授業前後で生徒へのアンケート調査の結果、電気について学習することのイメージが好ましい方向に変化した。また、生徒のPhETに対する関心も高かった。この成果の一部は、研究協力者により報告された(理科の教育66巻775号)。 また、PhETを開発したコロラド大学ボルダー校を訪問して、主に授業を行うクラスの規模とPhETの効果的な利用方法の関係について、PhETの開発チームにインタビューを行った。その結果、①数百人規模の授業であれば、PhETによるデモンストレーションを行いながら科学概念の解説を行い、その後クリッカーによる質問をいくつか学生に出すと最も効果が得られること、②小規模な授業では、学生にパソコン上でシミュレーションの操作に慣れた後、教員からの質問や課題について考え、シミュレーションを実行して調べさせると効果的であること得た。PhETを活用したK-8(中学2年生)の授業の視察では、グループごとに既存の知識をまとめさせた上で、PhETのを用いて生徒に確認させるという形態であった。これらのもとに、指導マニュアルとワークシートの作成に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究申請書において示した当該年度の研究計画に沿って、研究を進めてきた。すなわち、昨年度行ったPhETの活用により生徒の理解が進むと予想される単元の抽出をもとに授業モデルを作成し、それを小中学校教員が実践して、その効果についてアンケート調査を行った。また、モデル授業を構築する上で、PhETの開発を進めているコロラド大学ボルダー校におけるインタビューや近隣の中学校におけるPhETを活用した授業の視察により、モデル授業の形態に関する情報を得た。これらの調査結果や本研究の取組について、理科教育学会等で報告を行うとともに、PhETを活用した授業づくりのシンポジウムを開催した。
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Strategy for Future Research Activity |
PhETを活用した授業モデルについて、現在進めている指導マニュアルとワークシートの作成を進め、指導書の発刊を目指す。作成にあたっては、教員研修会における実践や、三重県におけるCSTによる実践を通じて、教師が使いやすく、児童生徒が理解しやすく、関心をもつものにする。特に児童生徒が理解しにくいエネルギー概念や粒子概念の単元についてまとめ、児童生徒の科学的概念の定着について調査する。併せて、教師が具体的に実施しやすいように、授業モデルのビデオを作成して配信することについても着手する。 また、PhETはiPadで使用できる新しいシミュレーションが配信されているが、まだ日本語に翻訳されていない状況である。これについては、早急に整備する必要があるため、PhET開発チームと打合せを行う。
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Causes of Carryover |
海外の実地調査には2名で行く予定であったが、都合により1名で行くことになったために、旅費の支出が少なかった。また、指導マニュアルやワークシート作成に計上した人件費については、現段階では企画立案の段階であるために支出していない状況である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
PhETの開発チームとは本年度も打合せを予定していることから、今年度は旅費が必要となる。また、指導マニュアルやワークシート作成のために人件費が必要となる。
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