2017 Fiscal Year Research-status Report
沖縄の染織と暮らしの持続性に関する研究―学校・市民教育に向けた衣生活教材開発―
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15K04505
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
松本 由香 琉球大学, 教育学部, 教授 (70259274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 敏行 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (20196299)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 染め織り / 沖縄 / 衣生活教材 / 経済性 / 文化振興 / ツーリズム / サスティナブル・デザイン / 地域貢献 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、「染め織りによる経済性の探究:生産性の追求・ツーリズムの影響・経済性の再考」をテーマに、調査研究を行った。具体的には、南風原町の琉球絣事業協同組合と工房2軒で聞き取り調査(7月)、石垣島の石垣市織物事業協同組合と工房2軒、と石垣市の豊年祭での聞き取り調査(8月)、竹富島の竹富町織物事業協同組合と織り手、および竹富島の豊年祭の聞き取り調査(10月)、西表島の工房3軒と祖内の節祭の聞き取り調査(11月)を行った。 南風原町の琉球絣、石垣島の八重山上布、竹富島・西表島の八重山ミンサーと織りの事例から、経済性を考えながら商品となる布・服飾雑貨をつくることに、織り手が集まって織物組合が形成され、後継者が育成されて織り技術が継承されながら、独自のさまざまな工夫が重ねられてきたことがわかる。そのつくり方の特徴は、①染め織りの伝統技法の再考と文様の工夫、②つくり手の自己啓発と楽しみ、③自然との共生およびサスティナブル・デザインの考察、④染め織り文化振興と地域貢献、の4つにまとめてとらえることができる。染め織りは、地域振興や観光化の影響とも相まって、商品として量産されてきた。しかし経済性が追求されるだけではなく、それぞれの地域のつくり手によって、手づくりの意味の再考、デザインの刷新、技術の研鑽が、日々、楽しみながら積み重ねられてきたことがわかる。染め織りは、経済性の表裏にあるその豊かな意味の探求をつくり手にうながし、つくり手の楽しみや生き甲斐になっているということが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究実施計画は、「染め織りによる経済性の探究:生産性の追求・ツーリズムの影響・経済性の再考」で、計画通りに南風原町、石垣島、竹富島、西表島で聞き取り調査を行った。当初、平成29年度に奄美大島の大島紬についても聞き取り調査する予定であったが、奄美大島の広範囲で生産が行われ、大島紬の文献資料も多くあるため、平成30年度に時間をかけて聞き取り調査することを考えている。 平成29年度に聞き取り調査を行い、得られた結果からまとめられる地域ごとのテーマとその項目は次の通りである。1.生産性の追求(1)南風原町:生産性を工夫した琉球絣、(2)石垣島:八重山上布の摺り込み捺染技法、2.ツーリズムの影響:竹富島・石垣島と西表島:ミンサー織とツーリズム(1)八重山ミンサーの特徴・文様、(2)八重山ミンサー織の歴史、(3)八重山ミンサーの現在、3.経済性の再考:西表島:ツーリズムとサスティナブル・デザイン(1)西表島の特徴と自然、(2)西表島と織りの歴史、(3)染め織りのサスティナブル・デザイン、4.経済性の探究、である。以上の各テーマにしたがって報告書を執筆している。その内容をもとに、今後、衣生活教材を作成していく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、研究を計画通りに推進していくつもりである。 平成30年度には、先述したように、奄美大島の大島紬の生産について聞き取り調査を実施したい。また西表島の大原で、平成29年11月の調査終了時に、障害者による共同作業所で、植物染料による染めが行われて製品化されているのを知ったので、可能であれば、その調査もしたいと考えている。 そして全調査終了後、衣生活教材の原稿を完成させたい。
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Causes of Carryover |
平成29年度に、共同研究者は、石垣島の調査と竹富島の調査を実施することができたが、他の調査研究と重複したことで、西表島と南風原町の調査ができなかったことから、次年度使用額が生じた。これについては、平成30年度に、奄美大島とできれば西表島の調査をする予定で、その目的で使用したい。
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Research Products
(4 results)