2016 Fiscal Year Research-status Report
道徳の教科化を見据えた道徳授業モデルの開発と評価の在り方の開発的研究
Project/Area Number |
15K04506
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Research Institution | Akita University of Art |
Principal Investigator |
毛内 嘉威 秋田公立美術大学, 美術学部, 教授 (70712769)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 道徳の教科化 / 道徳授業 / 考え、議論する / 道徳科の目標 / 多面的・多角的 / 自分自身との関わり / 問題解決的な学習 / 評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
道徳の教科化を見据えた道徳授業を進める上で重要なことは、子供にとって魅力的があり、子供の活力を生み出す「考え、議論する」道徳授業への質的転換を図ることであり、それに伴った評価の在り方を検討することである。 その第一が、道徳科の目標である「道徳性」という資質・能力を育むための道徳授業や学習の姿の具体的イメージを共有することであり、具体的な学習の姿として、①道徳的諸価値について理解する学習、②自己を見つめる学習、③多面的・多角的に考える授業、④自己(人間として)の生き方について考える学習、を生み出すことである。 第二は、評価とも大きく関連しているが、①一面的な見方から多面的・多角的な見方へと発展しているか、②道徳的価値の理解を自分自身との関わりの中で深めているか、とりわけ、この2つの視点を意識した道徳授業を構成することが大事である。具体としては、教材の登場人物の行為や考えのわけを「どうしてだろう」と問い、道徳的価値を様々な側面から分析的に深めていくことである。また、自分自身の生き方について「自分だったらどうする」などと、自分事として捉えていくことである。 第三は、質の高い学びを子供に提供することである。これは、文部科学省の「主体的・対話的で深い学び」を実現することであり、問題意識と主体的・協働的な学習の展開が必要不可欠である。例えば、①読み物教材の登場人物への自我関与が中心の学習、②問題解決的な学習、③道徳的行為に関する体験的な学習を3つの型として捉えるのではなく、①②③を相互に組み合わせたり融合させたり、他の方法を開発したりして、子供の視点に立った多様な学習を生み出すことである。 第四は、子供の学習状況や道徳性に係る成長の様子を評価することである。そのためには、教師と子供の共感的雰囲気のもと子供同士が切磋琢磨し高め合い、子供自身が成長を実感できる評価でなければならない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間内の目標として掲げた、①「特別の教科 道徳」の指導方法について、国内外の多方面の実践から検討し、指導方法の有効性と課題を明らかにする。②経験や体験を生かしながら子供に考えさ、シティズンシップ教育の充実の観点から家庭や地域社会の人々が参加できる道徳授業モデルを開発する。③道徳性の評価に当たって、指導のねらいや内容に照らし、子供の学習状況を把握するために、子供の作文やノート、質問紙、発言や行動の観察、面接など、資料等を収集する方法について検討し、その成果と課題を明らかにする。④道徳授業モデルと関連させながら、指導のねらいに即した観点別評価、パフォーマンス評価、ポートフォリオ評価、子供の自己評価の在り方などの有効性について明らかにするについて概ね達せすることができた。 学校現場として筑波大学付属小学校及び秋田市内の学校等とも密接に連携しながら、「①多角的・批判的に考え、討論する授業」「②具体的な動作等を取り入れた授業」「③問題解決的な授業」を実施すると同時に評価についても併せて研究を行った。しかし、当初計画にあった「シティズンシップ教育の視点に立った授業」については、教員と打合せを行った結果、子供たちの実態とはそぐわないということになり、研究を見送ることになった。 この研究の成果を発表する場として、代表研究者が、第88回日本道徳教育学会秋季大会(秋田公立美術大学)を開催し、大きな成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の最終年次である今年度は、これまで研究を進めてきた道徳授業モデルと評価の開発を更に発展させる形として、「道徳授業モデルとその評価について、多様な価値観をもった子供を対象に実践的に検証し、多様な子供の個人内の成長過程を重視できる評価の組み合わせについて明らかにする。」ことを最終目標として行う。 しかしながら、具体的な研究として、「家庭や地域住民参加型道徳授業モデル」の開発と「モラルディスカッション法と価値の明確化理論を組み合わせた授業モデル」の開発としていいたが、研究を進めるうえで学校現場の状況や児童生徒の実態から「効果的な道徳授業モデル」+「評価」という関連で進めていきたいと考えている。また、検証場所として考えていたアメリカ・NJ日本人学校であるが、学校事情もあり、現在検討中である。場合によっては、他の日本人学校に変更することもあるし、日本国内だけで進める場合も考えられる。
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Causes of Carryover |
予定していた備品等の購入費について、大学の研究費で賄うこととなったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究内容に関する情報収集等のために、学会及び研究会へ出席するための旅費にする予定である。
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