2015 Fiscal Year Research-status Report
「総合的な学習の時間」再活性化モデルの研究開発-地域コーディネーターに注目して-
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15K04518
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Research Institution | Niigata Seiryou University |
Principal Investigator |
岩崎 保之 新潟青陵大学, 福祉心理学部, 教授 (60410247)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 総合的な学習の時間 / 地域コーディネーター / 社会に開かれた教育課程 / 学校と地域の連携・協働 / 地域教育プログラム / アクティブ・ラーニング / ファシリテーション / 熟議 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、地域コーディネーターの役割・機能に注目し、教職員のニーズと地域住民等のシーズとをつなぎながら「総合的な学習の時間」を再活性化させるストラテジーを構築し、モデルを開発することである。 平成27年度は、「総合的な学習の時間」における地域コーディネーターの役割・機能の解明を目指し、理論研究と質問紙調査の設計・実施を行った。 理論研究については、米国の哲学者・教育思想家であるジョン・デューイ(John Dewey, 1859-1952)が著した諸文献を中心とし、「総合的な学習の時間」との関連において先行するデューイ研究を整理し位置付けた。その結果、新しい学習指導要領の改訂方針である「社会に開かれた教育課程」や「アクティブ・ラーニング」は、デューイが『学校と社会』や『明日の学校』等の諸著作で100年以上前に構想していたことであること、デューイの構想が児童生徒や教師の姿として最もよく表れるのが「総合的な学習の時間」であること、これからの「総合的な学習の時間」を指導する教師には、コーチングやファシリテーションの指導技量、地域の真正な課題を教材にする知識、社会の現実と社会を形成する力の理解といった教職としての専門性が求められることなどを明らかにし、専門学会の「課題研究」で報告した。 質問紙調査の設計・実施に関しては、上記理論研究の成果や先行する類似した諸調査等を参考にしながら、「総合的な学習の時間」担当教員及び地域コーディネーターを調査対象とした質問紙を設計した。その際、複数の教育長や地域コーディネーターに質問紙の設計に関して助言や指導を受けたり、教育関係諸団体に調査実施の了解を得たりするとともに、本務校において倫理審査を受審した。そして、都道府県1つ及び政令指定都市1つを選定し、当該自治体が所管する全ての公立小・中・中等教育・特別支援学校(分校を除く)に調査票一式を発送した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究計画調書に記載している平成27年度の研究計画・方法は、次の通りである。 1)「総合的な学習の時間」における地域コーディネーターの役割・機能の分析 2)「総合的な学習の時間」において教職員と地域コーディネーターとが協働して単元開発・授業実践するプロセスモデルの収集・分析・開発 上記1)については、学校と地域が連携・協働する理論の構築を行うとともに、教員・地域コーディネーターを対象とした質問紙調査を実施した。質問紙調査に当たっては、平成27年度の取組状況を調査するため、調査票の締切を年度を超えて設定した。そのため、得られた標本のデータ解析は未着手であり、その結果に基づく地域コーディネーターを対象とした面接調査も未着手である。 上記2)については、学校と地域の連携・協働に先駆的に取り組んでいる自治体や学校の教育長や地域コーディネーターと面談し、プロセスモデルの収集に務めた。ただし、上記1)の質問紙調査のデータ解析によって得られた知見をプロセスモデルの開発に反映させる研究は未着手である。 以上の理由から、本研究は「おおむね順調に進展している」と判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の研究計画調書に記載している平成28年度以降の研究計画・方法は、平成27年度の研究を継続するとともに、新たに以下の研究に取り組むこととしている。 3)「総合的な学習の時間」において教職員が地域住民等と連携・協働する要件の解明 平成27年度の研究成果として、上記11-2)及び11-3)の研究対象となる学校や地域コーディネーターを選定し終えている。 今後は、教育系NPO法人のスーパーバイズに基づき研究対象校・研究対象者の理解と協力を得て、研究計画調書に記載してある研究計画・方法にそって研究を推進していく。
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Causes of Carryover |
当該年度は、質問紙調査及び面接調査を実施する計画であった。当初は当該年度内に調査票を回収して分析をし、その結果に基づいて面接調査を実施する予定であった。 質問紙を設計するに当たって有識者及び関係者と協議した結果、1年度間全てを対象として実施状況を調査した方が望ましいという結論に至った。そのため、調査票の締切日を当初の年度内から次年度に繰り延べた。 このため、質問紙調査における調査票の分析及び面接調査が次年度に繰り越されたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
質問紙調査における調査票の入力作業に係る人件費、面接調査における面接対象者への謝金及び面接調査のテープ起こしに係る人件費等に関する経費として使用する。
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