2016 Fiscal Year Research-status Report
「総合的な学習の時間」再活性化モデルの研究開発-地域コーディネーターに注目して-
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15K04518
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Research Institution | Niigata Seiryou University |
Principal Investigator |
岩崎 保之 新潟青陵大学, 福祉心理学部, 教授 (60410247)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 総合的な学習の時間 / 地域コーディネーター / 社会に開かれた教育課程 / 学校と地域の連携・協働 / 地域教育プログラム / アクティブ・ラーニング / ファシリテーション / 熟議 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、地域コーディネーターの役割・機能に着目し、教職員のニーズと地域住民等のシーズとをつなぎながら「総合的な学習の時間」を再活性化させるストラテジーを構築し、モデルを開発することである。 平成28年度は、「総合的な学習の時間」における地域コーディネーターの役割・機能の解明を目指し、教員・地域コーディネーターを対象とした質問紙調査を実施して、標本の統計学的分析を行った。また、教職員と地域コーディネーターとが連携・協働して開発した教育実践を参与観察したり、事例を収集・分析したりした。 質問紙調査については、例えば中学校教員を対象とした調査から、日常的に地域住民が学校を訪問していたり、学校の教職員が地域で活動していたりする学校や、両者の意思疎通が良好な学校では、「総合的な学習の時間」が活性化している様子が示唆された。 教育実践の参与観察・事例収集については、教職員と地域住民だけでなく生徒や保護者も参加して、地域の課題や学校の教育活動等を熟議する「学校づくり委員会」(中学校)の取組を継続して参与観察した。また、地域の活性化を目指し、生徒が地区別に分かれて奉仕活動をするとともに、地域住民と昼食を取りながら交流する「地域貢献活動」(中学校)の取組を専門研究会において事例検討した。どちらの取組も、計画立案の場面から地域コーディネーターが関わり、取組の趣旨や教員の要望を理解した上で、地域住民に対し取組への参加を働き掛けていた。また、どちらの取組も、熟議や交流の場面でファシリテーションの手法を取り入れ、新たな価値を生成する対話を生徒がファシリテーターとなって行っていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究計画書に記載されている平成28年度の研究計画・方法は、次の通りである。 1)「総合的な学習の時間」における地域コーディネーターの役割・機能の分析 2)「総合的な学習の時間」において教職員と地域コーディネーターとが協働して単元開発・授業実践するプロセスモデルの収集・分析・開発 これら2つの研究計・方法は、平成27年度に引き続いて行う計画となっている。1)については、質問紙調査は実施できたけれども、その分析結果に基づく面接調査は未着手である。また、2)については、プロセスモデルの収集・分析は実施できたけれども、開発は未着手である。 以上の理由から、本研究は、「おおむね順調に進展している」と判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の研究計画書に記載している平成29年度の研究計画・方法は、平成28年度までの研究を継続するとともに、新たに以下の研究に取り組むこととしている。 3)「総合的な学習の時間」において教職員が地域住民等と連携・協働する要件の解明 具体的には、地域コーディネーター非配置校における実践を参与観察したり、リーフレット「『総合的な学習の時間』リニューアル・ガイドライン」を作成したりする計画である。 上記の研究は、平成28年度までに計画していた研究対象校での参与観察や研究対象者に対する面接調査とともに、教育系NPO法人のスーパーバイズを受けながら研究計画書に記載してある研究計画・方法にそって研究を推進していく。
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Causes of Carryover |
当該年度は、地域コーディネーターを対象とした面接調査を実施する予定であった。しかしながら、質問紙調査の統計学的分析に時間がかかったことから、その結果に基づいて設計する予定としていた面接調査が実施できず、当該調査に係る旅費、謝礼や録音データの文字起こし等に係る支出が発生しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、面接調査を実施するとともに、研究成果を学会で発表したり、リーフレットを作成して学校教育関係者に発信したりするための経費として支出する。 また、「総合的な学習の時間」再活性化に向けたフォーラムを開催して、研究成果を広く社会に還元するための経費としても支出する。
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