2016 Fiscal Year Research-status Report
知識偏重の従来型臨床教育と参加型臨床教育(クリニカル・クラークシップ)の比較
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15K04529
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Research Institution | Kumamoto Health Science University |
Principal Investigator |
安田 大典 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (40461115)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 臨床実習 / クリニカル・クラークシップ / 自己効力感 / 気分 / GSES / VAS / POMS |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床実習形態の違いによる自己効力感と気分に違いについて比較した。 実習形態は、実習指導者が傍らに学生を常につかせて治療の経過や根拠などをその都度説明を加え、患者への間接的な援助など学生が出来る事から実施させる診療参加型実習をclinical clerkship(以下、CCS)とした(n=27)。比較対象群はCCS以外とし、実習指導者が学生に担当患者の評価や治療経過をレポートにまとめさせ、それを基に指導を行う従来型の方法や、レポート指導とCCSに類似した方法を混合した実習形態など(以下、対象群)とした(n=14)。また、自己効力感の評価には、一般性セルフ・エフィカシー(General Self-Efficacy Scale 以下、GSES)、VAS形式の自己評価アンケート(以下、VAS)、気分の評価には気分プロフィール検査(Profile of Mood States 以下、POMS)を用いた。 その結果、実習後のGSESの平均値はCCSが43.3±10.5点、対象群が47.8±9.8点で2群間に有意差はなかった。実習後のVASにおいても20項目すべての項目でCCSと対象群に有意差はなかった。実習前後のPOMSの比較では、CCSは6項目のうち緊張-不安(T-A)、活気(V)、疲労(F)で実習後が実習前より有意に高値を示した(p<0.05)。対象群は6項目の全てにおいて有意差はなかった。 今回の研究においては、実習後の自己効力感(GSES)や自己評価(VAS)のCCSと対象群の比較において有意差はなかった。一方、実習前後の気分(POMS)に関して、対象群は有意差がなかったが、CCSは指導者の傍らで患者と常に接しながら実技を学ぶことができたことから、適度な緊張が持続し疲労を感じながらも活気も有意に上昇したと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
熊本地震による学生の心理負担を考慮し、自作した70項目の自己評価を短縮させて実施した。約1年を経過し地震も若干落ち着いてきたため、概ね計画予定に戻り実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度および29年度の研究データをまとめ、学会発表および論文投稿の準備を行う。同時に研究論文投稿先の検討も行っていく。
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Causes of Carryover |
熊本震災により研究打ち合わせ会議をキャンセルした。その為、メールによる意見交換を行い、会議のための旅費を使用しなかった。また、震災による研究の一部を中止したことによるデータの不足から学会発表を控えたことが要因として考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後は、論文作成に必要な書籍や参考文献等の購入、論文投稿に必要な費用、学会発表に必要な旅費に対して予算を使用させて頂く計画である。
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