2016 Fiscal Year Research-status Report
21世紀型資質・能力を育成する道徳教育カリキュラムの開発と実践に関する研究
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15K04532
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
西野 真由美 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター基礎研究部, 総括研究官 (40218178)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 道徳教育 / 資質・能力 / カリキュラム開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界の教育改革では、これからの社会を生きるために必要な資質・能力を育成する教育課程が開発されている。本研究では、学習指導要領改訂により、平成30年度以降の導入が予定されている「特別の教科 道徳」を中心とする道徳教育において、育成すべき資質・能力を明示し、道徳的諸価値とこれからの社会に求められる資質・能力を共に育成する新たな道徳教育の枠組みを提起すると共に、特別の教科としての道徳科の実践に向けた教材と学習方法の開発を行う。 平成27年度は、育成すべき資質・能力に関して、世界の学校教育改革の動向や国際的な教育関係機関等から提起されている資質・能力(21世紀スキル・コンピテンシー)について比較調査し、それらの資質・能力と道徳教育との関係について検討した。それに基づいて、道徳教育で育成する道徳性を資質・能力の視点から再定義することを試みた。 平成28年度は、上の成果を踏まえ、道徳教育全体で育成する資質・能力と特別の教科としての道徳科で育成すべき資質・能力を区別し、道徳科における資質・能力の育成に資する学習活動の在り方について検討した。その際、道徳教育の評価に関する専門家会議の検討で提起された「質の高い三つの指導方法」を参照し、目標や内容、学習・指導方法、評価等の一体的な検討を協力校における実践成果をもとに実証的検証した。また、広く国内の実践事例を収集し、資質・能力を育成する学習活動を実践していく上での課題を抽出した。 さらに、平成30年度からの小学校における全面実施に向け、道徳科において新たに評価が導入されることを踏まえ、これら学習活動の評価の在り方について検討を進めた。 以上の研究の成果は、平成29年4月に開催される国際学会において発表する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、次の二点を当初計画に従っておおむね予定通り実施した。 1. 21世紀型資質・能力を育成する道徳教育カリキュラムの枠組み構築:アジア・太平洋各国の協同研究により検討を重ねてきた道徳教育の国際的な枠組みについて、国内における学習指導要領改訂に向けた動向を参照し、そこで求められている資質・能力と関連づけてさらに検討した。この成果は、アジア・太平洋道徳教育ネットワーク会議で発表し、レビューを受ける予定である。なお、当初、このレビューは、平成28年度中に実施予定であったが、アジア・太平洋道徳教育ネットワークの定例会議が開催機関の事情により、平成28年度中に開催されず、平成29年4月の開催となった。そのため、発表とそのレビューについては平成29年度に行うこととなるが、4月開催のため、研究の進展に大きな影響はない。 2.資質・能力を育成する学習活動と評価に関する実践研究:資質・能力の育成とこれまでの道徳教育で重視されてきた道徳的諸価値の学習との両立を図りながら、質の高い学習方法を開発・定着していくため、従来活用されてきた教材について、問題解決的な学習や体験的な活動を生かした学習を充実する視点で新たな指導方法を提案した。開発した学習方法について、研究協力校に実践を依頼し、成果を検証した。また、諸外国における資質・能力育成の取組として、シンガポールの事例及び、国内の複数校で実施されている国際バカロレア機構のプログラムについて取り上げ、事例として検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、平成28年度における授業実践の成果に基づき、求められる資質・能力とそれを育成する学習活動の在り方について実践上の課題も含めて取りまとめる。また、平成30年度の教科化実施に向けた喫緊の課題として、新たに導入される道徳科の評価についての指針や実践事例が学校現場から強く求められている現状に対応するため、資質・能力の育成に向けた評価の在り方を盛り込んだ実践事例集を作成して公開する。 国際的なレビューを踏まえ、資質・能力を育成する道徳教育カリキュラムを目標・内容・学習指導方法・評価の一体的な検討をもとに提案し、報告書に取りまとめる。 研究成果の普及については、上の実践事例集や報告書の刊行に加え、国内外の道徳教育学会において研究成果を発表するとともに、地方自治体における研修や授業研究における指導を通して啓発と普及を図る。
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Causes of Carryover |
研究成果の中間発表を予定していた学会(アジア太平洋道徳教育ネットワーク)の年次大会が、2016年度中に開催されず、2017年4月に開催されることとなった(中国・武漢)。そのため、この大会の準備に当てていた使用予定額(旅費・資料翻訳謝金)を翌年度に繰り越しして使用する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年4月に中国武漢で開催されるアジア太平洋道徳教育ネットワーク会議における成果発表とその準備のために使用する。
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Research Products
(2 results)