2015 Fiscal Year Research-status Report
超重症児の学習活動に対する共創コミュニケーションアプローチ
Project/Area Number |
15K04541
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
岡澤 慎一 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (20431695)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超重症児 / 共創コミュニケーション / 学習活動 / 実践研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,超重症児の学習活動のあり方について,共創コミュニケーションの観点から,以下の2点について検討することである.第1点目は,超重症児の学習活動に関する長期間にわたる教育実践資料を収集・蓄積し,その実相を明らかにすることである.第2点目は,収集された教育実践資料を共創コミュニケーションの観点から検討を重ね,超重症児の学習活動を促進する諸条件について明らかにし,その一方で,こうした学習活動の意義を検討することである.本年度は,第1の目的を中心に実施するとともに,第2の目的についても,収集された映像資料の分析を進めるなかで一定程度接近することができた.第1の目的に関して,2015年4月から2016年3月の間に5名の超重症児への教育的対応の場面において収集された映像資料は以下のとおりであった.いずれの事例も常時人工呼吸器を使用しており,寝たきりの状態である.事例1:追視や注視など視線の動きや表情変化,発声運動が見出されるものの,四肢の動きについては痙攣様の動き以外に表出の視認が極めて困難なほどに微弱な超重症児との学習に関するセッション23回,事例2:閉眼が難しく,眼球にラップをしており,わずかな眼球や舌の突出,口角が上がるなどの動きはあるものの,表情変化は微細で,四肢の動きは,指を開いたり腕が動くなどの微細な動きがごくまれに見出される程度の超重症児との学習に関するセッション7回,事例3:筋疾患である先天性ミオパチーを原因疾患とする超重症児との視線入力装置を利用した学習に関するセッション25回,事例4および事例5:脊髄性筋萎縮症(SMAⅠ型)を原因疾患とする超重症児で,種々の共同的活動と共に接触型のセンサースイッチあるいは視線入力装置を用いてコミュニケーションエイドを操作したり,パソコンで種々の学習課題に取り組んだ.事例4が25回,事例5が14回のセッションを実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究実施計画にある,1)超重症児の学習活動に関する長期間にわたる教育実践資料を収集・蓄積し,その実相を明らかにすることに関して,該当する映像資料を94回のセッション分収集することができ,また,順次分析も進められており,概ね計画どおりであるといえる.また,2)収集された教育実践資料を共創コミュニケーションの観点から検討を重ね,超重症児の学習活動を促進する諸条件について明らかにし,その一方で,こうした学習活動の意義を検討することに関しては,事例1,事例2,事例3,事例4の各々の経過の一部について,分析を進め,学会(日本特殊教育学会)において発表あるいはシンポジウムにおいて話題提供することができた.平成28年度は,こうした成果に基づいて論文化する予定であり,研究の進捗状況は概ね順調であるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,1)平成27年度に引き続き,超重症児の学習活動に関する教育実践を継続し映像資料の収集を重ねるとともに,2)目的の2点目,すなわち,収集された教育実践資料を共創コミュニケーションの観点から検討を重ね,超重症児の学習活動を促進する諸条件について明らかにし,その一方で,こうした学習活動の意義を検討すること,を中心として研究を進める.映像資料の分析に際しては,研究協力者との共同による検討会を実施する予定である.
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Research Products
(9 results)