2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K04546
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
橋本 創一 東京学芸大学, 教育実践研究支援センター, 教授 (10292997)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ダウン症 / 学校適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ダウン症のある児童生徒(小中学校の通常学級、特別支援学級、特別支援学校小中学部に在籍)を対象とし、本人・保護者・教師に調査や諸検査を実施し、それに基づき『ダウン症児のための学校適応支援マニュアル』を作成・開発し、個別の指導計画や合理的配慮の立案への有効性について検証することである。 平成28年度は、平成27年度に収集したデータの整理・分析を行った。知的特別支援学校小学部の教員(ダウン症児を担任・もしくは担任経験のある教師)456名を対象とした調査(回収数:256件、回収率:56.1%)では、ダウン症児特有の支援ニーズとして「話し言葉の困難」「こだわりの強さ」「運動面の問題」「不適切な距離感」が多くあげられた。また、クラスタ分析を行った結果、①言語面ニーズ群66名、②多様ニーズ群86名、③言語・運動面ニーズ群66名、④興味・関心偏り群37名の4クラスタが導き出された。他の障害との違いについて、「体力・身体的ハンディキャップに配慮(21%)」「対人関係が良い(13%)」が指摘された。有効な工夫として「視覚支援(14%)」「褒める(12%)」などがあがった。場面の切り替えの悪さへの対応は、「活動の手順を視覚的に示す(23%)」「時間的見通しを示す(19%)」で、いずれも、4つのクラスタでほぼ同じ傾向が示された。 一方で、特別支援学校の教師らは、支援ニーズの違いからタイプや個人差があることは認識していても、支援や工夫は画一的であることが示唆され、 支援ニーズのタイプに応じた支援・指導の工夫の必要性が明らかになった。 またこれらの研究をもとに、『ダウン症児のための学校適応支援マニュアル』を作成した。現在、研究協力校において、在籍するダウン症児と担任教師を対象に、支援マニュアルを個別の指導計画の作成と実際の指導・対応に用いてもらい、その有用性について検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、収集した調査データの整理・分析を行い、マニュアルを作成し、その有用性について検討を行っている。計画していたスケジュールに沿って研究を継続する見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
・【継続】研究協力校での『ダウン症児のための学校適応支援マニュアル』の適用 ・公開ワークショップの開催(研究協力校の教師/保護者の参加) ダウン症児の担任教師や保護者を対象に公開ワークショップを実施し、意見交換を行い、マニュアルの有用性について検証する。 ・マニュアルを冊子化・配布&ホームページでのモデル事例データベースの公開 実際に適用したモデル事例のデータベースを作成し、保護者・教師が閲覧/活用しやすい様式にてマニュアルを冊子にして配布する(公開にあたってはプライバシーに留意し、匿名性の高い表現に記録などを書き換える)。
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Research Products
(2 results)