2015 Fiscal Year Research-status Report
学習障害児への早期対応のためのカリキュラムに基づく尺度の標準化と指導効果の検討
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15K04564
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
干川 隆 熊本大学, 教育学部, 教授 (90221564)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 教育評価 / 学習障害 / 進捗状況モニタリング / 計算 / 視写 / 成果尺度 / カリキュラムに基づく尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、学習障害の児童に早期に対応するために、学習の進捗状況をモニターする手立てとしてカリキュラムに基づく尺度(Curriculum Based Measurement;以下CBM)を標準化し、それによって指導の効果を検討することである。平成27年度は、1.通常の学級の児童を対象にCBMを実施し、その妥当性と信頼性を検討することで、CBMを標準化することと、2.標準化したCBMを用いて学習障害等の児童を対象に進捗状況をモニターし、個別指導の効果を検討することであった。 1については、小学校の協力が得られたことで、行事等を除く週に1回の割合で合計24回にわたり、2年生から6年生までの273人に対して、3分間にどれくらい計算できるか(計算)とどれくらい教科書の文章を写せるか(視写)としてCBMによる評価を実施することができた。その結果、CBMの視写の得点と標準学力検査の国語の間に0.20から0.63の相関があること、CBMの計算と標準学力検査の算数の間に0.38から0.63の相関があることが示された。また、教師のよる児童の国語の困難さとCBMの視写との間で0.27から0.73の相関があり、算数の困難さの評価とCBMの計算との間で、0.47から0.61の相関があることがわかった。したがって、3分間の測定によって、CBMが児童の算数と国語の学力を表す指標となることが示された。また、24回の継続的な評価によって、視写では平均で1回当たり2.50から3.01、計算で平均で2.13から3.24の成長を測定できていたことから、進捗状況のモニタリング尺度として有用であることが示された。 2につて、6名の学習障害児に同様に視写と計算のCBMを実施したところ、定型発達の児童に比べて2標準偏差低い児童が多く、また、定型発達の児童に比べて毎回の成績の変動が多いことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小学校の協力により、273人の児童に対して視写と算数のCBMのデータを24回にわたり資料を収集することができた。その結果、CBMの結果と個別学力検査の結果、さらにCBMの結果と教師による算数と国語のつまずきの評価との間に、中くらいから強い程度の相関があることが示され、3分間のCBMが信頼性と妥当性をもつ尺度であり、学力を評価する有用な方法であることが示された。また、定期的に進捗状況をモニターしたことから、定型発達の児童生徒の成長のプロセスを明らかにすることができた。 さらに、6名の学習障害の児童の視写と計算のCBMを収集することができ、平均からの逸脱と進捗のパターンの分析から、学習障害のある児童の学習の特徴を把握することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度も平成27年度と同様に、小学校の協力によって2年生から6年生の児童(約270人)に対して、22回の視写と計算のCBMを実施して、進捗状況を把握するための尺度の信頼性と妥当性について検討を行う予定である。それによって、ある時点での平均からのずれによって、児童の相対的な能力を評価することができる。また、進捗状況を継続的にモニターすることにより、その成長比から指導の成果を評価することができるであろう。 また、学習障害の児童に対しても引き続き、CBMによる評価を行うことで、定型発達の児童に比べて、学習障害の児童の特徴を明らかにすることができる。さらに、個別指導を実施し、その成果をCBMでとらえることで、個別指導の有効性について実証的に検証できるであろう。 平成28年度は特に、一部のクラスに対して早期にアセスメントを実施し、児童の実態に合わせて介入することを計画している。 平成27年度には、視写と計算が問題によって難易度が異なっていたので、平成28年度は問題を精選して問題の難易度による影響を最小限にしていきたい。
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Causes of Carryover |
3月まで研究事務支援者により資料の収集を行い、4月にならないと最終的な額がでなかったため、最終的に赤字にならないように予算を確保した。その結果、38737円の残額を出すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残額は、次年度に繰り越して人件費・謝金として資料の収集のために使う予定である。
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Research Products
(3 results)