2018 Fiscal Year Research-status Report
セルフ・アドボカシー・スキルの高次化とその教育的方策に関する実証的研究
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15K04566
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
片岡 美華 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (60452926)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自己権利擁護 / 発達段階 / 自己理解 / 提唱力 / 文化的差異 / 教育的プログラム / スロベニア共和国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、発達障害のある人のセルフアドボカシースキル(SAS)の獲得と活用状況を発達的観点からアプローチし、新たな力の獲得が次のSASを向上させ活用していくとする高次化仮説に対して理論的、臨床的に検討を試みるものである。しかし、2016年より産前産後休暇並びに育児休業に入り、また2019年度より復帰予定としていたが、新たに2018年より産前産後休暇並びに育児休業に入ったために、現在も引き続き研究を中断している状態にある。 2018年度は、2017年度に続き、丸一年間研究中断期間にあったが、セルフアドボカシー(SA)プログラムの実施は、研究チームにより継続され、主に9,10歳の節目、また12歳の発達段階にある対象児のデータ収集にあたった。また、2017年度から試行段階に入ったグループプログラムの実施についても、引き続き可能性を探ることになったが、対象児間の調整などから、2018年度は単発的に行うにとどまった。データ分析については、一部をまとめ7月に開催された国際学会で発表を行い、アメリカ、台湾、日本の研究者と議論を交わすことができた。また8月にはSAプログラムについて国内学会で発表、さらに継続して行っている自主シンポジウムにおいても青年期発達障害者の内面世界について自己理解をテーマに議論を行い、知見を高めることができた。 文化的差異については、これまで情報収集を続けてきたスロベニアのインクルーシブ教育についてまとめあげ、論文として発表した。スロベニアは、社会主義から民主主義へと転換を遂げた国であり、EUに属して国独自の発展と並行してEUのルールのもと教育改革が行われている。このことからもその変革の様子は興味深く、本研究の中でも特に提唱力や自己理解において示唆を与えるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2016年度より産前産後休暇並びに育児休業にあり、2017年度、2018年度と丸二年間研究を中断することとなったが、休業中もプログラムを継続的に実施しており、2017年度には書籍として先行研究をまとめ、本年度もデータ分析の一部を国際学会で発表するなど成果をあげている。とりわけ本年度は、文化的差異についてこれまでの情報収集の成果として2本の論文にまとめて発表できた。以上より、昨年度に引き続き、「やや遅れている」状態と考えた。 しかし、本研究の中心であるSASの高次化に関する理論的検討については、引き続きデータ収集、分析を要することから、今後、一層進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、2019年度から再開する予定であったが、新たに育児休業を取得したことにより、2020年度からの研究再開予定となっている。これについては、研究再開後の実施計画を提出済み(様式F-13-2)である。2019年度については、可能な限りセルフアドボカシープログラムを継続したいと考えているが、チーム体制について変更をせざるを得ない状況にあることから、保護者への聞き取りや単発的なかかわりになることが見込まれる。しかし、これまでのデータについては2019年度も国際学会や国内学会での発表を予定しており、成果の公表と研究者間での議論を進めていく予定としている。研究中断中につき制限も多く、研究を進めていくことは容易ではないが、文献等による最新情報へのアップデートや、研究チームとの連携など、復帰後に円滑に研究を再開できるようできる限りの努力をしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
(理由) 育児休業中につき、研究を中断しているため。 (使用計画) 2020年度より復帰予定であるため、2019年度の予算の使用はない。復帰後は、最新の文献収集、プログラム実施、研究成果報告のための学会発表並びに報告書作成等に適切に使用する。
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Research Products
(4 results)