2018 Fiscal Year Annual Research Report
Neural basis for reading in developmental dyslexia
Project/Area Number |
15K04568
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浅野 孝平 京都大学, こころの未来研究センター, 特定研究員 (50713319)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 発達性ディスレクシア / 安静時脳活動 / 領域間結合解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
年齢のマッチングと除外者の補充のためをディスレクシア児・定型発達児のデータのfMRI課題中の脳活動、安静時脳活動、脳構造画像(T1強調画像、DTI)の追加収集を行い、実験協力者全体を対象に、課題中の行動データと脳活動、安静時脳活動、脳形態、白質繊維走行について解析を行った。 まず、文字間隔課題の行動データの結果では、定型発達が標準、2文字間隔、4文字間隔と文字間隔を拡大させると正答率の低下、反応時間の延長が確認され、ディスレクシアでは、標準から2文字間隔へと拡大しても、正答率・反応時間とも変わらず、2文字から4文字間隔へ広がると正答率は変化せず反応時間が延長した。これは定型発達では、単語視覚形状を使った読字処理ができなくなるのに対して、ディスレクシアではこの処理がうまく行えないためと解釈できる。この課題中の脳活動解析では、定型発達、ディスレクシアともに文字間隔拡大に伴って、左の舌状回、鳥距皮質、右舌状回などへ活動領域が増大する傾向が見られたものの、両群に有意差はなかった。また、脳構造解析として局所灰白質量、白質繊維走行の解析結果では、多重比較補正をすると両群間に有意差は見られなかった。安静時脳活動の解析では、脳領域間の因果関係がある結合を解析し、そのネットワークが持つ情報を用いて、ある被験者が定型発達かディスレクシアかを判別できるかを検証した。その結果、言語に関係する左半球の紡錘状回、上側頭回、下前頭回三角部で構成されるネットワークの結合パラメータを用いると、ディスレクシアか定型発達かの実測値と予測値に有意な関連が確認された。この結果から、安静時fMRIから求めた言語処理に関連する領域間結合がディスレクシアと定型発達の差を特徴付けること,その結合パラメータを用いるとディスレクシアの判別が可能であることが示された。本結果は、診断の改善に寄与する可能性を持つと考えられる。
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