2017 Fiscal Year Research-status Report
電子構造の研究によるセリアナノ構造体の活性特性のメカニズムの解明
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15K04600
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
生天目 博文 広島大学, 放射光科学研究センター, 教授 (10218050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GALIF KUTLUK 広島大学, 放射光科学研究センター, 特任准教授 (00444711) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / X線光電子分光 / 触媒 / 窒素酸化物 / CeO2 |
Outline of Annual Research Achievements |
Rhナノ粒子は自動車触媒として利用される貴金属粒子であり窒素酸化物の触媒反応で優れた性質を示すことで知られている。Rhナノ粒子の創製とナノ粒子の電子構造研究に取り組んだ。Rhナノ粒子はガス中蒸着法により創製した。得られたRhナノ粒子の大きさは2.7±0.6nmと均一であることを電子顕微鏡により確認した。粒子表面からバルクにかけての電子状態の観測にはX線光電子分光実験を利用した。放射光X線光電子分光を利用することで、表面からバルクにかけての電子構造を把握することができる。Rh金属の内殻スペクトルと表面に吸着している窒素の内殻スペクトルを計測することで、ナノ粒子の表面での化学結合状態およびバルクでのRh元素の化学状態を調べた。清浄な環境でナノ粒子を創製し計測した場合と、ナノ粒子の表面に酸素や窒素酸化物を吸着させた場合の電子構造の変化を追跡することで、吸着の状態に関する情報を得ることができる。 実験の結果、清浄状態でのRhナノ粒子は金属的なスペクトル示し、NO吸着後は金属的なスペクトルに加え酸化吸着状態に対応する新たな状態が出現していることを確認した。基板をCeO2酸化膜にすると、さらに高い酸化状態に対応する構造が現れることも確認できた。表面に吸着した窒素に着目すると、Si酸化膜表面では中性のN原子吸着状態とNO、NO2による2つの吸着状態が観測できた。CeO2膜状では中性のN原子吸着状態が消え、NO、NO2による2つの吸着状態が観測できた。これらの実験の結果から、Rhナノ粒子表面でのNOガスの動的な触媒反応についての挙動を推し量ることができる。CeO2基板上での効果としてナノ粒子の高酸化状態が生じ、Si基板では酸化されないで吸着していた窒素原子がCeO2基板では酸化されNO、NO2を生じることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験室のX線光電子分光が不慮の事故により故障し普及が難しい状態で推移してしまっている。そのため、放射光施設でのビームタイムを確保しての測定となった。試料創製と計測を円滑に実施し研究を進める予定だったが、限られたビームッタイムでの実験に制限されたため実験項目を削減し重要な部分についての実験の取り組みとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
実験室のX線光電子分光装置を復旧し、ナノ粒子の創製と吸着ガス、基板との様々な組み合わせでの実験を実現し、ナノ粒子のもつ触媒特性を電子構造の観点からさらに明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
昨年度までに予定していた実験計画に対し、実験室のX線光電子分光装置が故障じ実施困難になってしまった。そのため研究経費の未執行部分を活用し、実験装置の復旧を行い、実験計画を遂行する計画である。
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Research Products
(2 results)