2016 Fiscal Year Research-status Report
プラズモニックダイマーの高選択的作製と表面増強ラマン計測への応用
Project/Area Number |
15K04609
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
武安 伸幸 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (90373323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 拓男 国立研究開発法人理化学研究所, 主任研究員研究室等, 准主任研究員 (40283733)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 金ナノ粒子 / ダイマー / パッチ粒子 / プラズモン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、金ナノ粒子表面を1点疎水修飾することによってパッチ金ナノ粒子を作製し、溶液中でのそれらの疎水性相互作用を利用してプラズモニックダイマーを作製すること、さらに作製したプラズモニックダイマーの表面増強ラマン計測への応用を目的としている。ガラス基板上にn-オクタデシルアミンを用いてLB膜を作製し、金ナノ粒子を静電吸着させると、金ナノ粒子がLB膜と接する1点のみが疎水修飾される。水系溶液中でLB膜と一緒に金ナノ粒子をガラス基板から剥ぎ取ると、溶液中で疎水性相互作用を通して、金ナノ粒子クラスター構造が得られる。昨年度は、光学的アプローチにより、金ナノ粒子ダイマーを含むクラスター構造ができていることを確認した。 今年度は、LB膜に吸着した金ナノ粒子を剥ぐ際に余剰のn-オクタデシルアミンを不活性化するために用いる、クエン酸水溶液の濃度を最適化し、原子間力顕微鏡を用いて、作製した試料中に含まれる金ナノ粒子ダイマーの収率を評価した。原子間力顕微鏡による観察では、アミノコート処理を施したガラス基板の表面に、金ナノ粒子クラスター構造を吸着・乾燥させ、観察用試料とした。ガラス基板上には、ダイマー構造だけでなく、モノマー、トリマー、さらにそれ以上の金ナノ粒子が集まったクラスター構造が観察された。さらに各構造の個体数を数えることによって、全体の個体数に対する各構造の数分率を求めたところ、モノマーが33%、ダイマーが13%、トリマーが7%、それ以上の凝集体は47%存在することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度、原子間力顕微鏡を用いて金ナノ粒子クラスター構造の観察を試みたが、年度始めに、学内共用の原子間力顕微鏡が移設され、その後、しばらく画像を取得できなくなった。観察時に、操作方法を変えることによって画像を取得できるようになったが、それに半年間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、作製した13%の金ナノ粒子ダイマー構造を分離・抽出する。さらに、この金ナノ粒子ダイマー構造が解離して、パッチ粒子として存在する環境を調べ、温度のみで、結合/解離を制御できる条件を見つける。その際、現在用いているn-オクタデカンアミンでは疎水性相互作用が強すぎることも考えられるため、その場合には、炭素鎖の短い分子で表面修飾された金ナノ粒子の凝集/分散を調べる。さらに作製した金ナノ粒子クラスター構造を用いて表面増強ラマン計測を行い、従来の基板にナノ粒子を並べた手法と比較する。
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Causes of Carryover |
原子間力顕微鏡像の取得に時間を要し、当初参加予定だった学会へ参加しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、より多くの学会へ参加する、また論文投稿を行い、その旅費や投稿料として使用する。
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