2016 Fiscal Year Research-status Report
円偏光蛍光シグナルのプラズモン増強メカニズム解明による高感度検出システムの構築
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15K04610
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
原田 拓典 大分大学, 工学部, 准教授 (80581339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅村 和夫 東京理科大学, 理学部第二部物理学科, 教授 (60281664)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | キラル / 円偏光蛍光 / プラズモン |
Outline of Annual Research Achievements |
発光性キラル化学種の中には円偏光発光(CPL)を示す化合物が存在する。有機CPL材料は無機材料に比べて材料の柔軟性、分子設計の自由度、多様な材料加工・操作性および比較的安価であるという利点から注目されている。有機CPL化合物の研究開発に関して、近年多くの注力が注がれているのが発光効率(量子効率:Φ)と円偏光度(glum値)のtrade-offの改善である。CPL強度の定量的な評価の指標である、Kuhn非対称性因子(glum = 4|m||μ|(|m|2+|μ|2)-1cosθ)の定義から、通常、高いΦを得ようとする場合、電気双極子(μ)許容遷移を必要とするが、この場合glum値が<10-3程度の小さい値となる。一方、大きなglum値は、磁気双極子(m)許容遷移から10-1程度の大きな強度が得られるが、発光強度は減少する。 したがって、高いΦと高いglum値を兼ね備えた材料を実現するために、1)立体構造と光遷移を加味した複雑な分子設計、2)化学修飾・超分子構造形成による光学的性質兼具を可能にする試みがなされている。しかしこれらの手法は化合物限定的なものであり、増幅率も数倍程度しか見込めない。そこでこれらに代わる代替案として3)金属ナノ粒子(NPs)-有機分子hybridによるシグナル増強法を提案している。本課題は、このLSPR-CPL増強の詳細なメカニズムを明らかにし、高感度CPL分析技術の確立を目指す。初年度はLSPR増強メカニズムの基礎となるNPsとキラル分子の相互作用の研究を行い、蛍光・CPL増幅率向上の検討を行った。H28年度は貴金属粒子の形状を変化させ隣接する分子の励起子とのカップリングのLSPR光学特性依存性について調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有機色素キラルJ凝集体と単一粒子径NPs(10 nm)が近接して配置された系を構築し、そのキラル分光特性から低量子収率の蛍光シグナルおよびglum値が5~10倍の飛躍的増強が得られた。発光に寄与する吸収はLSPRと励起子が結合した吸収が関与していることが励起スペクトルの測定から示唆された。この増強的相互作用を示す系は、効率的な円偏光発光システムになる可能性を秘めており、NPs構造をより精密に制御することで、キラル光学機能特性の増強作用効率の向上を検証している。NPs粒子の電場増強効果は、NPsと対象キラル物質との空間的配置が変化するようなサイズ、形状、媒質の誘電率および集合体形態に強く依存する。そこでアスペクト比の異なる貴金属ナノ粒子とキラル分子と相互作用させ量子収率、glum値などの光機能増強を球形ナノ粒子と比較した。アスペクト比の異なる貴金属ナノ粒子はSeedless法 2)により調製した。詳細な構造や複合体形成の有無の知見を得るため走査型プローブ顕微鏡測定で直接観測し確認を行った。 被増強電場分子と貴金属ナノ粒子の濃度依存性がLSPR共鳴波長とOGの蛍光波長のオーバーラップによる再吸収、FRETによるエネルギー損失およびLSPR増強効果の比率を変化させることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、固定化NPsを作成し、バルク中とのLSPR増強率の比較を行う。NPsの固定化は石英基板を0.1 M KOH処理後、シランカップリング剤5% (v/v) (3-aminopropyl) triethoxysilane/EtOHによるシラン化処理を行い、この前処理石英基板に貴金属ナノ粒子の自己組織化単分子膜 (SAM) を形成する。また被覆率および配向制御の最適化を図る。処理石英基板に固定化したNPs-SAMの光学特性、モフォロジー解析は各種分光測定、ゼータ電位測定、SEM、TEMにより評価する。 28年度までに得られたLSPR円偏光蛍光増強メカニズムの光学物性に関する知見を基礎とし、高感度円偏光蛍光分光計測プラットフォームを構築する。最も増強率が高いNPsを分光測定セル基板上製膜したSAM及びLB膜により固定化NPsのLSPR増強率の比較検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
申請当初は傾斜配分で予算を計画していたが、研究進捗状況に合わせて予算配分を変更した
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越し分は装置開発に必須であるパーツ等の予算に充てる
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Ultrasonically enhanced extraction of luteolin and apigenin from the leaves of Perilla frutescens (L.) Britt. Using Liquid carbon dioxide and ethanol2016
Author(s)
H. Kawamura, K. Mishima, T. Sharmina, S. Ito, R. Kawakami, T. Kato, M. Misumi, T. Suetsugu, H. Orii, H. Kawano, K. Irie, K. Sano, K. Mishima, T. Harada, S. Mustofa, F. Hasanah,Y. D. I. Siregar, H. Zahroh, L. S. E. Putri and A. Salim
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Journal Title
Ultrasonics Sonochemistry
Volume: 29
Pages: 19-26
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Effect of Simple Calculation Exercise on Cerebral Blood Oxygenation during a Verbal Memory Task Measured by fNIRS2016
Author(s)
M. Misumi, K. Mishima, H. Orii, T. Sharmin, S. Tokunaga, M. Haraguchi, M. Nakamura, T. Harada, T. Suetsubu, K. Irie, K. Mishima, T. Satho
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Journal Title
Journal of the Institute of Industrial Applications Engineers
Volume: 4
Pages: 199-205
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Extraction of Isovitexin from Melinjo (Gnetum Gnemon L.) Leaves Using Mixtures of Liquid Carbon Dioxide and Ethanol2016
Author(s)
Y. D. I. Siregar, K. Mishima, R. Kawakami, S. Ito, Y. Inoue, T. Hirota, T. Sharmin, T. Kato, T. Harada, M. Misumi., H. Orii, T. Suetsugu, K. Irie, K. Mishima, K. Sakai, K. Sakai, H. Kawamura, H. Zahroh, N. A. Riyadahi, L. S. E. Putri, and A. Salim
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Journal Title
International Journal of Biomass&Renewables
Volume: 5
Pages: 23-30
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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